2026.10.21 シニア犬・猫の健康診断|体重減少などから見つけたい腫瘍のサイン
「食事の量は変わらないのに、少し痩せてきた」
「最近、寝ている時間が増えた」
「ときどき吐くけれど、元気はありそう」
高齢の犬や猫にこのような変化が見られると「年齢のせいかな」と考える飼い主様もいらっしゃるでしょう。しかし、シニア期の何気ない変化の裏に、腫瘍や腎臓病などの病気が隠れていることがあります。
特に、食事量を減らしていないのに体重が落ちている場合は、見逃したくないサインのひとつです。
今回は、シニア犬・猫の健康診断で確認したい腫瘍のサインや、ご家庭でできるチェックについて解説します。

■目次
1.シニア期の体重減少はどのくらいから注意が必要?
2.自宅で確認したい体重と体の変化
3.食欲の有無から考える体重減少の原因
4.嘔吐や呼吸の変化も見逃したくないサイン
5.健康診断で行う検査と当院の腫瘍診療
6.\ 秋の健康診断キャンペーンのお知らせ /
7.まとめ
シニア期の体重減少はどのくらいから注意が必要?
犬や猫の体重は、食事量や運動量、排便・排尿などによって多少変動します。ただし、短期間で体重が減った場合や、少しずつでも減少が続いている場合は注意が必要です。
意図しない体重減少が普段の体重の10%を超える場合は、受診を検討したい目安のひとつです。例えば5kgの犬や猫では500g、10kgの犬では1kgに相当します。
ただし、10%減るまで様子を見てよいという意味ではありません。シニア期は筋肉量が落ちやすく、見た目だけでは変化に気づきにくいこともあります。
数週間から数か月の間に体重が減り続けている、背骨や腰骨が目立ってきたり、体を触るとゴツゴツしたりすると感じた段階で、早めにご相談ください。
自宅で確認したい体重と体の変化
体重減少を早めに見つけるためには、定期的に記録することが大切です。小型犬や猫は抱きかかえて飼い主様と一緒に体重計へ乗り、あとから飼い主様の体重を引くと、おおよその体重を確認できます。できるだけ毎回同じ時間帯・条件で測りましょう。
体重と併せて、体つきの変化も確認しましょう。その目安になるのが、肋骨の触れ方や腰のくびれなどから体脂肪の状態を評価する「ボディコンディションスコア(BCS)」です。ご家庭では、犬や猫が立っている状態で、次の点を確認します。
・肋骨に優しく触れる:強く押さなくても、薄い脂肪の下に肋骨を1本ずつ感じられるか確認します。
・体を真上から見る:肋骨の後ろに、適度な腰のくびれがあるか確認します。
・体を横から見る:胸から後ろ足に向かって、お腹が緩やかに引き締まっているか確認します。
肋骨に触れやすく、適度なくびれがある状態が、標準的な体型の目安です。肋骨や背骨が浮き出て、くびれが強い場合は痩せ気味、肋骨に触れにくく、くびれが分かりにくい場合は太り気味の可能性があります。体型や被毛によって判断しにくいこともあるため、診察時に獣医師と一緒に確認するとよいでしょう。
一方で、シニア期は脂肪が残っていても筋肉だけが減ることがあります。背中や腰、後ろ足、頭部の筋肉が以前より細くなっていないかも、優しく触って確かめてください。
ブラッシングやスキンシップの際には、毛艶の変化に加え、皮膚のしこり、左右で異なる腫れ、お腹の張りなどがないかも確認しましょう。
こうした変化に気づいたら、動物病院にご相談ください。日頃の記録は、腫瘍をはじめとする病気の早期発見に役立ちます。
食欲の有無から考える体重減少の原因
体重が減っているときは、食欲の変化も重要な手がかりになります。
<食べているのに痩せる場合>
食欲があるにもかかわらず痩せていく場合は、糖尿病、消化吸収不良、猫の甲状腺機能亢進症、胃腸管型リンパ腫などの消化管腫瘍が考えられます。特に猫の甲状腺機能亢進症では、よく食べているのに痩せる、落ち着きがなくなる、よく鳴くといった変化が表れることがあります。
<食欲が落ちて痩せる場合>
食欲低下を伴う場合は、消化器疾患や慢性腎臓病、肝臓病、歯科疾患、慢性炎症、腫瘍など幅広い病気が考えられます。
犬や猫の腫瘍には、リンパ腫、消化器腫瘍、肝臓腫瘍などがあり、体の表面にしこりができるとは限りません。外から見えない胸やお腹の腫瘍は、健康診断の血液検査や画像検査をきっかけに見つかることがあります。
犬や猫の食欲が低下する原因や受診の目安についてより詳しく知りたい方はこちら
嘔吐や呼吸の変化も見逃したくないサイン
体重減少に加えて、嘔吐や下痢、呼吸の変化などが重なる場合は、より注意が必要です。
当院で特に多くみられる症状のひとつが、嘔吐です。激しい嘔吐や下痢ではなくても「最近ときどき吐く」「少し便が緩い」といった変化から検査を行い、腫瘍が見つかることがあります。
そのほか、次のような変化にも注意しましょう。
・水を飲む量や尿量が増えた
・元気がなく、散歩や遊びを嫌がる
・被毛のつやがなくなった
・お腹が膨らんできた
・咳が出る、呼吸が速い
・口を開けて呼吸している
・傷やしこりが治りにくい
当院では、呼吸の変化をきっかけに検査を行い、胸部の腫瘍と約200mlの胸水が見つかったケースもあります。このケースでは、呼吸状態を改善するために胸水を抜く処置が必要でした。
涼しい場所で安静にしているにもかかわらず犬の速い呼吸や口を開けた呼吸が続く、猫が口を開けて呼吸している、胸やお腹を大きく動かしながら呼吸している場合は、緊急性が高いことがあります。様子を見ず、速やかに動物病院へご連絡ください。
とはいえ、ご家庭で気づける変化には限りがあります。特に胸部や腹部にできた腫瘍は、外から見たり触れたりしただけでは分からないこともあるため、定期的な健康診断で体の内部まで調べることが大切です。
健康診断で行う検査と当院の腫瘍診療
まずは問診と身体検査で、体重、体格、筋肉量、口腔内、リンパ節、皮膚のしこりなどを確認します。続いて血液検査を行い、貧血や炎症、肝臓・腎臓などの状態を調べます。
必要に応じて、レントゲン検査や超音波検査で胸部・腹部を確認します。しこりや臓器の異常が見つかった場合は、細い針で細胞を採取する細胞診や、組織の一部を採取する生検などを検討します。
ただし、血液検査だけですべての腫瘍を発見できるわけではありません。身体検査と画像検査を組み合わせ、年齢や症状に応じて確認することが大切です。
当院には日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅱ種である本夛医師が在籍し、腫瘍が疑われる段階から診断、治療方針のご相談まで対応しています。また、当院では7歳を超えた犬や猫には、半年に1回の健康診断をご提案しています。
\ 秋の健康診断キャンペーンのお知らせ /
当院では10月~12月限定で、超音波検査(腹部+胸部)と血液検査のセットを、通常17,600円(税込)のところ、25%OFFの13,200円(税込)で受けていただけるキャンペーンを実施しています。
愛犬や愛猫の健康チェックをご検討中の飼い主様は、この機会にぜひご利用ください。
※別途、診察料がかかります。
まとめ
シニア犬・猫の体重減少や食欲、嘔吐、呼吸などの変化は、加齢だけでなく、腫瘍をはじめとする病気によって表れることがあります。
特に、食べているのに痩せる、少量でも体重減少が続く、以前より背骨や腰骨が目立つ場合は、早めの受診をおすすめします。
ご家庭で気づいた変化と健康診断の結果を照らし合わせることで、外見だけではわからない異常を見つけられる可能性があります。「年齢のせいかもしれない」と迷う段階でも、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
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監修:米田 昂史(院長・獣医師)
米田 昂史(院長・獣医師)
<経歴・資格>
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北海道札幌市や東京都大田区の動物病院、さらに夜間救急動物病院目黒で勤務。心肺蘇生実技講習(RECOVER BLS & ALS Rescuer course)を修了し、救急医療にも精通している。
<著書>
『犬と猫の救急道場』(どうぶつとひと出版)
▶著書の詳細はこちらから
<ひとこと>
言葉を話せない動物たちそれぞれの個性を大切にし、飼い主様と相談しながら最善の治療を提案いたします。「気軽に立ち寄れる動物病院」であり続けるために、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
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