2026.08.18 犬や猫にしこりを見つけたら|リンパ節の腫れで考えられる病気と受診の目安
愛犬や愛猫を撫でているときに「首のあたりが少し腫れている」「今までなかった小さなしこりに気づいた」と、不安になった経験はありませんか。
しこりを見つけると「腫瘍ではないだろうか」と心配される飼い主様は少なくありません。しかし「しこり」は、体を触ったときに感じるふくらみやできものの総称であり、その正体はさまざまです。皮膚や皮下にできた腫瘍や嚢胞、膿のほか、リンパ節の腫れがしこりとして触れられることもあります。
見た目や触った感触だけでは原因を判断することは難しく、「少し様子を見ても大丈夫なのか」「すぐに受診したほうがよいのか」と迷われるケースも多く見られます。
しこりの原因によっては早めの治療が必要となる場合もあるため、気になるしこりや変化を見つけた際は、自己判断せず、一度動物病院で状態を確認してもらうことが大切です。
今回は、犬や猫のリンパ節の腫れやしこりで考えられる原因、早めに受診したほうがよいサイン、動物病院で行う検査について解説します。

■目次
1.リンパ節とは?犬や猫で腫れに気づきやすい場所
2.犬や猫のリンパ節が腫れる原因とは?
3.「イボ?水がたまっただけ?」しこりの正体はひとつではありません
4.こんな症状があるときは早めの受診が大切
5.動物病院ではどのように原因を見極めるの?
6.当院が大切にしている「しこり診療」とは
7.まとめ
リンパ節とは?犬や猫で腫れに気づきやすい場所
リンパ節は、体の免疫機能を支える組織のひとつです。体内に入り込んだ細菌やウイルスなどに反応し、体を守る役割を担っています。
健康な犬や猫ではリンパ節に触れてもわからない、あるいはごく小さいことがほとんどです。しかし、炎症や感染症などによって免疫が活発に働くと、リンパ節が腫れて触れられるようになる場合があります。
飼い主様が比較的気づきやすいリンパ節の場所は、主に以下が挙げられます。
・あごの下
・首まわり
・脇の下
・後ろ足の膝の裏
・鼠径部(股の部分)
ご家庭で、スキンシップやブラッシングをしている際に「いつもよりふくらんでいる」と感じて来院されることも少なくありません。
実際には、「しこりだと思って受診したらリンパ節の腫れだった」「リンパ節だと思っていたら別のしこりだった」というケースもあります。
見た目や触った感触だけで判断することは難しいため、気になる変化に気づいた際は、一度動物病院で確認してもらうことをおすすめします。
犬や猫のリンパ節が腫れる原因とは?
リンパ節は、体内で炎症や感染などが起こると反応して腫れることがあります。そのため、リンパ節が腫れているからといって、必ずしも腫瘍とは限りません。
リンパ節が腫れる主な原因には、以下のようなものがあります。
<炎症による反応>
歯周病や口内炎、皮膚炎、外傷などがあると、その周囲のリンパ節が反応して一時的に大きくなる場合があります。
<細菌やウイルスなどによる感染症>
細菌やウイルス、真菌などによる感染症でもリンパ節が腫れることがあります。発熱や元気・食欲の低下など、全身症状が見られる場合もあります。
<免疫の異常が関係する病気>
自己免疫疾患など、免疫機能の異常によってリンパ節が腫れることがあります。
<腫瘍性疾患>
リンパ腫などリンパ節そのものに発生する腫瘍のほか、体のほかの部位にできた腫瘍がリンパ節へ転移し、腫れとして見つかることもあります。
このように、リンパ節の腫れにはさまざまな原因があり、治療方法や緊急性も異なります。
「イボ?水がたまっただけ?」しこりの正体はひとつではありません
「しこり」とは、ふくらみやできものの総称です。そのため、しこりの正体はリンパ節の腫れとは限らず、さまざまな原因が考えられます。
例えば、しこりの正体としては、以下のようなものが考えられます。
・リンパ節の腫れ(炎症や感染症、免疫異常、リンパ腫などが原因となる場合がある)
・皮膚や皮下にできた良性・悪性の腫瘍(イボを含む)
・感染によって膿がたまった膿瘍
・液体や分泌物がたまった嚢胞(のうほう)
実際には「イボや水がたまっているだけだと思っていた」と受診されたものの、詳しく調べると別の原因が見つかるケースも少なくありません。
このように、見た目や触った感触だけでしこりの正体を判断することは困難です。しこりを見つけた際は自己判断せず、早めに動物病院で原因を確認することが大切です。
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こんな症状があるときは早めの受診が大切
しこりの中には、早めに対応したほうがよい病気が隠れている場合もあります。
特に、以下のような変化が見られる場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
・しこりが短期間で大きくなっている
・触ると硬く、周囲の組織に張り付いているように感じる
・複数やの全身のリンパ節が同時に腫れている
・元気や食欲の低下を伴っている
・発熱が見られる
・しこりの表面が赤くなったり、出血したりしている
なお、犬や猫は痛みを表に出さないことも多いため、痛がる様子がなくても注意が必要です。
特に腫瘍性疾患では、初期には痛みなどの症状がほとんど表れないことも珍しくなく、全身のリンパ節が大きく腫れているのに痛がらないこともあります。
そのため「少し気になるしこりがある」といった段階でも、一度診察を受けておくことで原因の早期発見につながる場合があります。
動物病院ではどのように原因を見極めるの?
体にしこりが見つかった場合は、まずその正体がリンパ節の腫れなのか、それ以外のしこりなのかを見極めたうえで、必要に応じて検査を行い、原因を調べていきます。
<触診>
触診は、しこりの状態を把握するための基本となる検査です。
しこりに触れ、大きさや硬さ、動きやすさなどを確認します。
<超音波検査(エコー検査)>
超音波を用いて、しこりの内部構造や周囲の組織との関係を確認する検査です。
しこりの性質を把握するための参考になります。
<細胞診>
細い針でしこりやリンパ節の細胞を採取し、炎症や感染症、腫瘍性の変化などがないかを調べる検査です。
比較的体への負担が少なく、しこりの原因を調べる際に役立つ検査のひとつです。
<血液検査>
必要に応じて血液検査を行い、炎症の程度や全身状態などを確認します。
しこりの状態だけでなく、全身の健康状態を把握するために行うことがあります。
当院が大切にしている「しこり診療」とは
当院では、しこりを診察する際、まず触診を丁寧に行うことを大切にしています。
大きさや硬さ、動きやすさ、周囲の組織や筋膜との境界などを確認し、その所見をもとに、次にどの検査を行うべきかを判断しています。
例えば、しこりの内部が液体なのか固形なのかを確認したい場合には超音波検査(エコー検査)を、周囲の組織や筋膜に固着しているように感じられる場合には細胞診を検討するなど、触診の結果に応じた検査の選択が基本です。
必要に応じて血液検査を行い、しこりの性質や全身状態を総合的に評価し、それぞれの犬や猫に適した治療方針をご提案しています。
こうした一つひとつの確認を丁寧に積み重ねることが、早期の原因特定につながる場合があると考えています。実際の診療でも「小さなしこりだから様子を見ようと思っていた」という段階で受診され、詳しく調べたことで原因の特定につながったケースがあります。
また、当院には本夛獣医師(日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅱ種)が在籍しており、腫瘍性疾患を含めた幅広い可能性を考慮しながら診療を行っています。
本夛 喜之(獣医師)
さらに、より専門的な検査や治療が必要と判断した場合には、二次診療施設とも連携し、それぞれの犬や猫の状態に応じた治療方針をご提案しています。
「少し皮膚が腫れているだけだから大丈夫」と思っていても、実際には緊急性が高いケースも少なくありません。
気になるしこりを見つけた際は、自己判断で様子を見続けるのではなく、早めにご相談いただくことが適切な治療につながる場合があります。
まとめ
犬や猫のしこりやリンパ節の腫れには、炎症や感染症、嚢胞、良性腫瘍、悪性腫瘍など、さまざまな原因が考えられます。そのため、見た目や触った感触だけで原因を判断することは難しく、適切な検査によって見極めることが大切です。
特に、しこりが急に大きくなっている場合や、複数のリンパ節が腫れている場合、元気や食欲の低下、体重減少などを伴う場合には、できるだけ早めの受診をおすすめします。
当院では、犬や猫のしこりに対して、幅広い可能性を考えながら診療を行っています。愛犬や愛猫の体に気になるしこりや腫れを見つけた際は、一人で悩まず、お気軽に当院までご相談ください。
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監修:米田 昂史(院長・獣医師)
米田 昂史(院長・獣医師)
<経歴・資格>
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北海道札幌市や東京都大田区の動物病院、さらに夜間救急動物病院目黒で勤務。心肺蘇生実技講習(RECOVER BLS & ALS Rescuer course)を修了し、救急医療にも精通している。
<著書>
『犬と猫の救急道場』(どうぶつとひと出版)
▶著書の詳細はこちらから
<ひとこと>
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