2026.07.10 犬や猫との旅行・帰省前に要チェック|車酔い・熱中症・急病に備える準備ガイド
夏休みやお盆の時期になると、愛犬や愛猫と一緒に旅行や帰省を計画される飼い主様も多いのではないでしょうか。
「実家まで長時間の移動になるけれど大丈夫かな」「慣れない場所で体調を崩さないだろうか」「車酔いしやすいけれど、何か対策はできるのかな」といった不安を感じる飼い主様は少なくありません。
愛犬や愛猫との旅行や帰省は、大切な思い出づくりの機会です。その一方で、長距離移動や環境の変化は、愛犬や愛猫にとって大きな負担になる場合があります。特に夏場は、車酔いや熱中症、慣れない環境によるストレスなどのトラブルが起こりやすい時期です。
また、シニア期の犬や猫や持病のある子では、移動そのものが体調に影響を与える可能性もあります。そのため、「普段は元気だから大丈夫」と考えず、その子の年齢や健康状態に合わせた準備を行うことが大切です。
今回は、犬や猫との旅行・帰省前に確認しておきたい準備や車酔い対策、旅先での救急時の対応、帰宅後のケアについて解説します。

■目次
1.長距離移動が犬や猫に与える影響とは?|見逃したくないストレスと体調の変化
2.旅行・帰省前に済ませておきたい準備|安心して移動するためにできること
3.旅先で困らないために|持参しておきたいものと医療データ
4.旅先で急病やケガをしたときは?|受診を迷わないための判断基準
5.帰宅後も油断しない|旅行や帰省のあとに見られる体調不良
6.まとめ
長距離移動が犬や猫に与える影響とは?|見逃したくないストレスと体調の変化
犬や猫にとって、長時間の移動や慣れない場所で過ごすことは大きな負担になることがあります。
犬では、移動中に落ち着きがなくなったり、呼吸が速くなったりすることがあります。一方、猫は環境の変化に敏感な子が多く、食欲が落ちたり、キャリーから出たがらなくなったりすることも少なくありません。
また、車酔いによって以下のような症状が表れる場合があります。
・よだれが増える
・嘔吐する
・元気がなくなる
・落ち着きがなくなる
さらに、夏場は車内温度の上昇による熱中症にも注意が必要です。
エアコンを切った車内は、短時間であっても温度が急上昇しやすく、重症化すると命に関わる危険な状態に陥ることもあります。そのため、短時間でもエンジン・エアコンを切った車内でのお留守番は絶対にやめてください。
特に、パグやフレンチ・ブルドッグなどの短頭種、シニア期の犬や猫、子犬・子猫、心臓病や呼吸器疾患などの持病がある子は注意が必要です。
また、旅行中は普段とは異なる環境で過ごすため、体調の変化に気づきにくくなることがあります。
「少し元気がない」「いつもより食欲がない」「なんとなく様子が違う」といった小さな変化が、体調不良のサインである可能性もあるため、移動中や滞在中はいつも以上に愛犬や愛猫の様子を観察し、少しでも異変を感じた際は早めに対応することが大切です。
旅行・帰省前に済ませておきたい準備|安心して移動するためにできること
旅行や帰省を安全に楽しむためには、以下のような事前準備が欠かせません。
◆健康状態のチェック(体調に変化がないか確認する)
・食欲や元気は普段通りか確認する
・下痢や嘔吐など気になる症状がないか確認する
犬の下痢についてより詳しく知りたい方はこちら
猫の嘔吐についてより詳しく知りたい方はこちら
◆予防医療の確認(感染症や寄生虫対策を済ませておく)
・ワクチン接種を済ませておく
・ノミ・マダニ予防を行っておく
・フィラリア予防シーズンであれば、予防を済ませておく
犬や猫のワクチンの重要性についてより詳しく知りたい方はこちら
犬や猫のノミ・マダニについてより詳しく知りたい方はこちら
◆持病がある場合の事前相談(移動の安全性を確認する)
・長距離移動が可能な状態かを相談する
・旅先で注意すべき点を確認する
・持参すべき薬について確認する
特に心臓病や腎臓病、てんかんなどの持病がある犬や猫では、移動そのものが身体への負担となる場合があります。また、旅行中に体調が変化した際の対応方法や、薬の飲ませ方について事前に確認しておくことで、より安心して旅行や帰省に臨むことができます。
◆フードや薬の準備(不足しないよう余裕を持って用意する)
・療法食が必要な場合は十分な量を準備する
・常備薬は予備も含めて持参する
◆車酔いや不安への対策(移動中の負担を軽減する)
・車酔いしやすい場合は獣医師に相談し、酔い止めの使用を検討する
・不安が強い場合は状態に応じたお薬について相談する
旅行前の健康チェックは、病気の有無を確認するだけでなく、安全に移動するための大切な準備のひとつでもあります。
旅先で困らないために|持参しておきたいものと医療データ
旅先では、普段通っている動物病院とは別の病院を受診しなければならない場合があります。
そのため、万が一に備えて必要なものを準備しておくことが大切です。
<旅行時に準備しておきたいもの>
・酔い止めや常備薬
・普段食べているフードや飲み水
・ペットシーツやタオル
・迷子札
・ワクチン接種証明書(必要に応じてワクチン猶予証明書)
・狂犬病予防注射済票や鑑札
・応急処置グッズ
さらに、医療情報も持参しておくと安心です。
<持っておくと安心な医療データ>
・かかりつけ医の診察券
・直近の血液検査結果
・現在飲んでいる薬の内容が分かるもの
なお、当院の院長はこれまで救急診療の現場で、多くの犬や猫の診療に携わってきました。その中で、服用中の薬や基礎疾患の情報が分からず、診断や治療方針の決定に苦慮するケースを経験しています。
旅先の動物病院では、初めて診察する犬や猫の情報が限られています。そのため、検査結果や服薬内容が分かる資料があると、より適切で迅速な処置につながりやすくなります。
スマートフォンで写真を撮って保存しておくだけでも役立つため、出発前に準備しておくことをおすすめします。
旅先で急病やケガをしたときは?|受診を迷わないための判断基準
旅行先では、「慣れない場所だからもう少し様子を見よう」と考え、受診のタイミングが遅れてしまうことがあります。
しかし、以下のような症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
・何度も吐いている
・ぐったりしている
・呼吸が苦しそう
・ケガをして出血している
・下痢が続いている
・食べ物や異物を誤飲した可能性がある
特に、熱中症や呼吸困難、誤飲誤食は緊急性が高く、迅速な対応が必要です。
また、旅先でケガをした際に、「かかりつけの動物病院で診てもらいたい」と考える飼い主様もいらっしゃるかと思います。もちろん、信頼している先生に診てもらいたいと思うのは自然なことです。
しかし、状態によっては、かかりつけ医まで移動するよりも、近くの動物病院で早急に処置を受けることを優先した方がよい場合があります。
実際に当院の院長が経験したケースでは、旅先で他の犬に噛まれてしまった子を、かかりつけ医で診てもらうために急いで連れ帰ろうとしていた飼い主様がいらっしゃいました。
ただし、傷の状態によっては長時間移動するよりも、まず傷口の処置や感染予防を行うことが重要です。
かかりつけ医を信頼する気持ちはとても大切ですが、それと同じくらい、その場の状況に応じて適切な判断をすることも重要です。
受診するべきか迷った際は、まず近隣の動物病院へ連絡し、症状を伝えたうえで受診の必要性を確認するようにしましょう。
帰宅後も油断しない|旅行や帰省のあとに見られる体調不良
旅行中は元気そうに見えていても、帰宅後に疲れやストレスの影響が表れ、体調を崩してしまう犬や猫もいます。
長時間の移動や慣れない環境で過ごした緊張が続くことで、帰宅してから体調不良として表れることがあるためです。
特に猫は環境の変化に敏感なため、旅行中よりも帰宅後にストレスの影響が表れるケースも少なくありません。
帰宅後によく見られる変化には、以下のようなものがあります。
・食欲が落ちる
・下痢や嘔吐が続く
・元気がなくなる
・いつも以上によく寝る
一時的な疲れであれば、ゆっくり休むことで数日以内に回復することがほとんどです。しかし、症状が長引いたり、徐々に悪化したりする場合は注意が必要です。
旅行後は無理に遊ばせたり外出させたりせず、できるだけ落ち着いた環境でゆっくり休ませてあげましょう。
また、「少し疲れているだけだろう」と自己判断せず、気になる症状が続く場合は早めに動物病院へ相談することをおすすめします。愛犬や愛猫の体調をしっかり観察し、旅行後の変化も見逃さないようにしてあげましょう。
まとめ
愛犬や愛猫との旅行や帰省を安全に楽しむためには、事前準備と健康管理が欠かせません。
車酔いや熱中症、環境の変化によるストレスなどは、あらかじめ対策を行うことでリスクを減らせる場合があります。また、持病がある犬や猫では、旅行前に移動の可否や持参すべき薬について相談しておくことが大切です。
さらに、旅先で急病やケガが起きた際に備え、検査結果や服薬内容などの医療情報を準備しておくことで、緊急時にも適切な診療を受けやすくなります。
旅行中だけでなく、帰宅後の体調変化にも目を向けながら、愛犬や愛猫が無理なく過ごせるようサポートしてあげましょう。
なお、当院では旅行前の健康チェックをはじめ、酔い止めや常備薬のご相談、持病のある犬や猫の移動に関するご相談にも対応しております。
鎌倉市・藤沢市エリアのかかりつけ医として、日常の健康管理から万が一の備えまで、飼い主様と大切なご家族に寄り添った診療を心がけています。旅行や帰省の予定がある際は、お気軽にご相談ください。
監修:米田 昂史(院長・獣医師)
米田 昂史(院長・獣医師)
<経歴・資格>
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北海道札幌市や東京都大田区の動物病院、さらに夜間救急動物病院目黒で勤務。心肺蘇生実技講習(RECOVER BLS & ALS Rescuer course)を修了し、救急医療にも精通している。
<著書>
『犬と猫の救急道場』(どうぶつとひと出版)
▶著書の詳細はこちらから
<ひとこと>
言葉を話せない動物たちそれぞれの個性を大切にし、飼い主様と相談しながら最善の治療を提案いたします。「気軽に立ち寄れる動物病院」であり続けるために、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
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