2026.09.02 犬や猫に血便が出たらどうする?考えられる原因と受診のタイミング

「愛犬の便に赤い血がついていた」
「愛猫が血の混じった便をしたけれど、すぐに受診したほうがよい?」
「黒っぽい便が出たけれど、これも血便なの?」
犬や猫の便に血が混じっていると、驚いてしまう飼い主様も多いのではないでしょうか。
血便は、大腸の一時的な炎症などによって表れることがある一方、感染症や消化管の腫瘍、血液を固める機能の異常などが隠れている場合もあります。
また、血便といっても、赤い鮮血が付着している場合と、黒くタール状になっている場合では、出血していると考えられる場所が異なります。
今回は、犬や猫の血便について、便の色や状態から考えられる原因、ご家庭で様子を見られるケースと受診が必要なケース、動物病院で行う検査について解説します。

■目次
1.血便とは?下痢との違い
2.血便の色と状態から考えられること|鮮血・黒い便・粘液便
3.犬や猫の血便は様子見できる?受診の目安
4.血便で考えられる主な原因
5.血便が出たときにご自宅で確認したいこと
6.動物病院ではどんな検査をする?
7.まとめ
血便とは?下痢との違い
血便とは、便に血液が混じったり、表面に血液が付着したりしている状態です。
一方、下痢は腸内の水分バランスが崩れ、通常よりも軟らかい便や水のような便が出ている状態を指します。
そのため、血便と下痢は同じものではありません。形のある便の表面に血液が付着することもあれば、下痢と血便が同時に表れることもあります。
血便を見つけた際は「血が出た」という点だけでなく、便の硬さや血液の色、血液の量、粘液の有無などを確認することが大切です。
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血便の色と状態から考えられること|鮮血・黒い便・粘液便
血便は、出血している場所などによって、便に混じる血液の色や便の状態が異なることがあります。受診時の重要な情報になるため、便を片付ける前に状態を確認しておきましょう。
<鮮血が付いている>
便の表面に真っ赤な血が付着していたり、赤い血が混じっていたりする場合は、大腸や直腸、肛門など、消化管の出口に近い部分から出血している可能性があります。
大腸炎や直腸の炎症、肛門周辺の病変などで見られることがあります。
<黒くタール状になっている>
黒くベタッとしたタール状の便は「メレナ」と呼ばれ、胃や小腸など上部消化管から出血している可能性があります。
一方で、便は食べたものの影響で黒っぽくなることもあります。ただし、血液が消化されて黒く変化している可能性もあるため、食事によるものと自己判断せず、動物病院へ相談しましょう。
<ゼリー状の粘液に血が混じっている>
便に透明から白っぽいゼリー状の粘液が付着し、そこに鮮血が混ざっている場合は、大腸に炎症が起きている可能性があります。
大腸炎では、便の回数が増える、何度も排便姿勢をとる、少量ずつ便が出るといった症状を伴うこともあります。
犬や猫の血便は様子見できる?受診の目安
血便を見つけたからといって、すべてのケースが緊急というわけではありません。
当院では、血便が1回だけで、元気や食欲が普段どおりあり、下痢や嘔吐などの症状も見られない場合には、一度ご家庭で様子を見てもよいと思われるケースもあると考えています。
ただし、その後も便の状態をよく確認してください。
<一度様子を見てもよいと思われるケース>
・血便が1回のみで、その後は見られない
・元気や食欲が普段と変わらない
・下痢や嘔吐がない
・血液の量が少ない
・そのほかに気になる症状がない
・現在患っている病気はない
一方、血便を2回以上確認した場合には、元気があっても一度動物病院を受診することをおすすめします。
特に、次のような場合には早めの受診が必要です。
<受診が必要なケース>
・血便を繰り返している
・血液の量が多い
・黒いタール状の便が出ている
・下痢や嘔吐を伴っている
・ぐったりしている、元気がない
・食欲が低下している
・おなかがぎゅるぎゅる鳴っている
・おなかを痛がっている
・誤食や異物摂取の可能性がある
・子犬や子猫、シニア期の犬や猫である
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「1回だから必ず大丈夫」というわけではありません。全身状態が悪い場合や出血量が多い場合には、回数にかかわらず早めに受診しましょう。
血便で考えられる主な原因
犬や猫の血便には、次のようにさまざまな原因があります。
<大腸炎>
大腸の粘膜に炎症が起こる病気です。食事の変化やストレス、感染症などさまざまな要因によって起こり、鮮血や粘液が混じった便が見られることがあります。
<急性の出血性下痢>
突然、血液を多く含んだ下痢が表れることがあります。嘔吐や元気の低下などを伴い、脱水が進むケースもあるため注意が必要です。
<感染症・寄生虫>

細菌やウイルス、寄生虫などによって腸に炎症が起こり、血便につながることがあります。
特に子犬や子猫では感染症や寄生虫による消化器症状にも注意が必要です。
<誤食・異物>
食べ慣れないものや傷んだ食べ物、異物などを口にしたことがきっかけで消化管に炎症や傷が生じ、出血することがあります。
異物によって腸閉塞などを起こしている場合には、嘔吐や食欲低下、腹痛などが表れることもあります。
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<慢性腸症などの消化器疾患>
慢性的な腸の炎症によって、下痢や血便が繰り返されることがあります。症状が長く続く場合には、一時的な胃腸炎だけでなく、背景にある疾患を調べることが重要です。
<腫瘍・血液凝固の異常>
繰り返す血便では、消化管の腫瘍や肛門周囲の腫瘍などが原因になっている可能性も考える必要があります。
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また、血液を正常に固めることができない「凝固異常」があると、消化管を含むさまざまな場所から出血することがあります。
特に、血便が繰り返される、体重が減ってきた、食欲低下が続いているといった場合には、背景に病気がないか詳しく調べることが大切です。
血便が出たときにご自宅で確認したいこと
血便が出た場合は、受診するかどうかにかかわらず、そのときの様子を記録しておきましょう。
確認したいポイントは、主に次のとおりです。
・血便が出た回数
・血液の色(鮮血か黒っぽいか)
・血液の量
・便の硬さ
・粘液が混じっていないか
・下痢や嘔吐の有無
・元気や食欲の変化
・誤食や食事変更の有無
当院では、血便で受診される際、可能であれば便の実物をお持ちいただくようお願いしています。便検査によって寄生虫などを調べられるため、写真も診察の参考になりますが、可能な限り便の実物をご持参ください。
また「何時ごろから」「何回くらい」「どのような便が出たか」もあわせて伝えていただけると、診察がよりスムーズです。
動物病院ではどんな検査をする?
血便の診察では、まず便の状態や症状が始まった時期、食事、誤食の可能性などを確認し、身体検査を行います。
そのうえで、症状に応じて次のような検査を組み合わせます。
<便検査>
寄生虫など、血便につながる原因がないか確認します。
<血液検査>
貧血や炎症の程度、内臓の状態などを確認します。必要に応じて、血液を固める機能についても調べます。
<画像検査>
レントゲン検査や超音波検査によって、消化管の状態や異物、腫瘤などがないか確認します。
<内視鏡検査>
症状が繰り返される場合や、ほかの検査だけでは原因を特定できない場合などには、内視鏡を用いて消化管の粘膜を直接観察し、必要に応じて組織を採取することがあります。ただし、病変の位置や状態によっては、内視鏡検査でも原因を特定できない場合があります。
血便は大腸炎など比較的よく見られる消化器疾患だけでなく、腫瘍などによって起こる場合もあります。そのため、血便が繰り返されるときは、出血を一時的に抑えるだけでなく、その原因を調べることが重要です。
当院では内視鏡検査にも対応しており、必要に応じて消化管を詳しく評価します。また、腫瘍が疑われる場合には、検査結果や犬や猫の状態を踏まえながら、その後の診療方針をご提案します。
まとめ
犬や猫の血便には、大腸炎などによる一時的なものから、感染症や寄生虫、異物、慢性的な腸の病気、腫瘍など、さまざまな原因があります。
便に赤い鮮血が付いているのか、黒くタール状になっているのかによっても、考えられる出血部位は異なります。
血便が1回のみで、元気や食欲があり、下痢や嘔吐などが見られなければ、一度様子を見られる場合もあります。しかし、2回以上繰り返す場合や、ぐったりしている、嘔吐や下痢を伴う、出血量が多い、黒いタール状の便が出ている場合には、早めに動物病院を受診しましょう。
当院では便検査や血液検査、画像検査に加えて、必要に応じて内視鏡検査なども行い、血便の背景にある原因を詳しく調べます。
「少し血が付いただけだから」と自己判断せず、繰り返す血便や普段と異なる様子が見られた場合には、お気軽にご相談ください。
監修:米田 昂史(院長・獣医師)
米田 昂史(院長・獣医師)
<経歴・資格>
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北海道札幌市や東京都大田区の動物病院、さらに夜間救急動物病院目黒で勤務。心肺蘇生実技講習(RECOVER BLS & ALS Rescuer course)を修了し、救急医療にも精通している。
<著書>
『犬と猫の救急道場』(どうぶつとひと出版)
▶著書の詳細はこちらから
<ひとこと>
言葉を話せない動物たちそれぞれの個性を大切にし、飼い主様と相談しながら最善の治療を提案いたします。「気軽に立ち寄れる動物病院」であり続けるために、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
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