2026.05.18 犬の耳が臭い・かゆがっているときは要注意?|耳トラブルのサインと受診の目安
「最近、耳をよくかくようになった」「なんとなく耳が臭う気がする」「頭をぶるぶる振ることが増えた」このような変化が見られても、日常のしぐさの一つとして受け止め、様子を見てしまう飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
犬の耳トラブルは、こうした何気ない仕草として表れることが多く、異変として認識されにくいため、見過ごされやすい傾向があります。特に湿度が上がる時期は耳の中が蒸れやすくなり、トラブルが起こりやすくなります。
軽いかゆみやにおいに見えても、実は外耳炎が始まっているケースも少なくありません。また、耳ダニやアレルギーなど、外耳炎以外の原因が関係している場合もあるため、早めに動物病院を受診することが大切です。
今回は、犬の耳のトラブルサインとその原因、適切な対応について、飼い主様にわかりやすく解説します。

■目次
1.犬の耳トラブルで多い「外耳炎」とその他の原因
2.見逃しやすい初期症状|こんな様子があれば注意
3.放置するとどうなる?|悪化した場合のリスク
4.自己流の耳掃除はNG|悪化させてしまうことも
5.動物病院でのケアと治療方法
6.まとめ
犬の耳トラブルで多い「外耳炎」とその他の原因
犬の耳トラブルの中でも、特に多く見られるのが外耳炎です。外耳炎は耳の入口から鼓膜までの間に炎症が起こる病気で、日常的に遭遇する機会の多いトラブルのひとつです。
外耳炎は、細菌や真菌(カビ)、耳ダニなどが原因で発症します。
はじめは「少しかゆそうにする」「耳のにおいが気になる」といった軽い変化として表れます。しかし、そのままにしていると再発を繰り返したり、慢性的な状態に移行したりすることもあります。
このようなトラブルが起こりやすい理由のひとつに、犬特有の耳の構造があります。犬の耳はL字型になっているため、湿気や汚れがたまりやすく、通気性も十分とはいえません。特に垂れ耳の犬種(トイプードル、ダックスフンドなど)では耳の中が蒸れやすく、外耳炎が長引きやすい傾向があります。
一方で、外耳炎とは異なる耳のトラブルとしては、以下のようなものが挙げられます。
・耳血腫(耳介に血液がたまる状態)
・耳の腫瘍(良性・悪性いずれも含む)
・アレルギーに関連した皮膚炎による耳の炎症
・異物の混入による刺激や損傷
・脂漏性皮膚炎
・内分泌疾患
そのため、耳の状態や仕草だけで自己判断するのではなく、「外耳炎なのか、それ以外の疾患なのか」を見極めることが重要です。
違和感が続く場合には、早めに動物病院で原因を確認することが安心につながります。
見逃しやすい初期症状|こんな様子があれば注意
耳のトラブルは、初期の段階では大きな変化が見られないことも多く、気づくのが遅れてしまうケースがあります。だからこそ、日頃の様子をよく観察することが大切です。
以下のような仕草や状態が見られる場合は、耳に異常が起きている可能性があります。
・耳をかいたり、床や家具にこすりつけたりする
・頭を何度も振る
・耳のにおいが気になる
・耳の中が赤くなっていたり、汚れが増えていたりする
・耳を触ろうとすると嫌がる
これらのサインは、軽い違和感として表れることもあれば、徐々に頻度が増えていくこともあります。ひとつでも当てはまる場合は、「まだ大丈夫」と様子を見るのではなく、早めに動物病院を受診しましょう。
放置するとどうなる?|悪化した場合のリスク
耳の異変をそのままにしていると、症状が進行し、かゆみだけでなく、以下のような異変が見られることがあります。
・痛みが強くなる
・耳の腫れや赤みが目立つようになる
・分泌物が増える
・においが強くなる
さらに炎症が進むと、中耳や内耳へ広がる可能性もあります。その結果、ふらつきが出たり、バランスを崩したりといった症状が表れることもあります。
また、慢性化すると再発しやすくなり、長期的なケアが必要になることも少なくありません。なお、アレルギーが関係している場合には、耳だけでなく体のかゆみや皮膚トラブルとして広がるケースもあります。
こうしたリスクを避けるためにも、早い段階で対応することが重要です。

自己流の耳掃除はNG|悪化させてしまうことも
耳の汚れやにおいが気になると、「きれいにしてあげたい」と感じる飼い主様は多くいらっしゃいます。しかし、自己流での耳掃除はかえって状態を悪化させる可能性があります。
特に綿棒を使って奥まで掃除すると、汚れを押し込んでしまったり、耳の中の粘膜を傷つけたりするおそれがあります。その結果、炎症が強くなり、治療が長引くこともあります。
また、耳トラブルは原因によって適切な処置が異なるため、見た目だけで判断してケアを行うのはリスクが高いといえます。
そのため、耳の中の汚れや状態の確認、掃除などのケアは、動物病院に任せると安心です。
なお、ご家庭でできるケアは、あくまで見える範囲の外側を軽く拭く程度にとどめてください。無理に奥まで触らないようにすることが、悪化を防ぐポイントになります。
動物病院でのケアと治療方法
動物病院では、原因に応じて以下のような処置を行います。
<外耳炎の場合>
耳の中の汚れや分泌物をしっかりと洗浄し、炎症の程度に応じて点耳薬を使用します。症状が強い場合には、内服薬を併用しながら改善を目指していきます。
<耳ダニ(寄生虫)の感染の場合>
耳の中を丁寧に洗浄してダニを除去し、駆虫薬(スポットタイプや内服薬など)を用いて治療を行います。また、再発を防ぐために一定期間継続して治療を行うこともあります。
<細菌や真菌(カビ)による炎症の場合>
耳の中の汚れや分泌物を取り除いたうえで、抗菌薬や抗真菌薬の点耳薬を使用します。炎症が強い場合には、内服薬を併用することもあります。

<アレルギー体質による影響の場合>
耳の治療とあわせて、体質そのものに対するアプローチを行います。食事内容の見直しをしたり、アレルギーを抑える内服薬を使用したりしながら、皮膚や全身のケアも並行して進めていきます。
<草や砂などの異物が混入している場合>
耳の中を確認し、異物を取り除きます。状況によっては安全に処置を行うために鎮静をかけることもあり、除去後は炎症を抑えるための点耳薬などでケアを行います。
<耳道が狭い・耳毛が多いなど耳の構造が関係している場合>
耳の通気性が悪いと、湿気や汚れがたまりやすくなり、外耳炎を繰り返す原因になることがあります。そのため、耳の状態に応じて耳毛処理や耳洗浄などを行い、再発予防につなげていきます。
<脂漏性皮膚炎が関係している場合>
耳の炎症を繰り返すケースもあるため、耳の洗浄や点耳治療に加えて、薬用シャンプーによるスキンケアや内服薬などを組み合わせながら、皮膚全体の状態を整えていきます。
<内分泌疾患が関係している場合>
甲状腺機能低下症やクッシング症候群などの内分泌疾患によって、皮膚や耳の環境が悪化し、慢性的な外耳炎につながることがあります。この場合は耳だけを治療しても改善しきれないことがあるため、血液検査などで全身状態を確認しながら、基礎疾患に対する治療も並行して進めていきます。
また、耳のトラブルは早期の段階であれば、比較的スムーズに改善が期待できるケースも多く見られます。そのため、「もう少し様子を見よう」と自己判断せず、早めに動物病院を受診することが大切です。
なお、「耳のにおいが少し気になる」「少しかいているように見える」といった段階でも、受診をご検討いただいて問題ありません。耳掃除のみや、状態のチェックだけでのご来院も可能です。
神奈川県鎌倉市のマーズペットクリニックでは、日々のケアのご相談から治療まで、飼い主様と愛犬に寄り添った診療を行っています。必要に応じて専門施設とも連携しながら、その子に合った医療をご提案いたします。
まとめ
犬の耳トラブルは、かゆみやにおいといった日常の小さな変化として表れることが多くあります。軽い症状に見えても、その裏に外耳炎や別の原因が隠れている場合もあるため、動物病院で原因をしっかり見極めることが重要です。
また、自己流の耳掃除は汚れを押し込んだり粘膜を傷つけたりしてしまい、かえって悪化につながることがあります。そのため、ご家庭でのケアは無理のない範囲にとどめ、異変を感じた段階で相談することが大切です。
「いつもと違う」と感じたときに早めに対応することが、愛犬の負担を軽減し、健康を守ることにつながります。
なお、当院では耳掃除のみのご相談やにおいのチェックだけのご来院にも対応しております。気になる変化があれば、お気軽にご相談ください。
監修:米田 昂史(院長・獣医師)
米田 昂史(院長・獣医師)
<経歴・資格>
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北海道札幌市や東京都大田区の動物病院、さらに夜間救急動物病院目黒で勤務。心肺蘇生実技講習(RECOVER BLS & ALS Rescuer course)を修了し、救急医療にも精通している。
<著書>
『犬と猫の救急道場』(どうぶつとひと出版)
▶著書の詳細はこちらから
<ひとこと>
言葉を話せない動物たちそれぞれの個性を大切にし、飼い主様と相談しながら最善の治療を提案いたします。「気軽に立ち寄れる動物病院」であり続けるために、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
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