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2026.02.17 猫が吐いた…様子見でいい?|受診すべき嘔吐の見極めポイント

猫は日常的に毛づくろいをする習性があるため、毛玉を吐く様子を目にする機会も少なくありません。そのため「嘔吐はよくあることだから」「少し様子を見ても大丈夫だろう」と感じた経験のある飼い主様も多いのではないでしょうか。実際、毛づくろいの際に飲み込んだ毛が原因で吐いてしまうケースは、決して珍しいものではありません。

しかし、実際の診療現場では「もう少し様子を見よう」と判断している間に、実は体の中で病気が進行していたという例も少なくありません。当院でも「毛玉だと思っていた」「受診のタイミングに迷った」というご相談は日常的に寄せられています。

猫の嘔吐は、単なる毛玉だけでなく、消化管の異常や内臓疾患など、さまざまな原因が背景に隠れている場合があるため、注意が必要です。

今回は、猫の「様子見でよい嘔吐」と「早めに受診を考えたい嘔吐」の違いを整理し、飼い主様ご自身が今どのように行動すべきかを判断しやすくなるよう解説します。

■目次
1.まず確認したい「様子見でよい嘔吐・危険な嘔吐」
2.嘔吐物の「色・状態」から考えられる原因
3.猫の嘔吐で考えられる主な病気やトラブル
4.動物病院では何を調べる?
5.迷ったら早めに相談を|かかりつけ医として
6.まとめ

 

まず確認したい「様子見でよい嘔吐・危険な嘔吐」

猫が吐いたとき、まず大切なのは「今すぐ受診が必要な状態かどうか」を冷静に見極めることです。判断の目安となるポイントは、以下の通りです。

 

<様子見でよいケース>

・毛玉が混じった嘔吐である
・一度吐いただけで、その後は落ち着いている
・吐いたあとも元気があり、食欲や水分摂取に変化がない

 

このような場合、すぐに重い体調不良へ進行する可能性は高くありません。そのため、嘔吐が一度きりで、その後は食欲や元気が普段通りであれば、まずはご自宅で慎重に様子を見ていいケースといえます。

ただし、様子を見ているうちに嘔吐を短時間に何度も繰り返す、嘔吐する間隔が短くなる、といった変化が見られる場合は、動物病院へ相談しましょう。

 

<すぐ受診を考えるべきサイン>

・短時間のうちに何度も吐く
・下痢をしている
・ぐったりして動かない、元気がない
・食欲がなく、水分もほとんど取らない
・吐物に血が混じっている
・ひもやおもちゃなど、異物を飲み込んだ可能性がある

 

これらの項目に一つでも当てはまる場合、体に強い負担がかかっているサインの可能性があります。放置すると、状態が急激に悪化することもあるため、早めに動物病院を受診することが大切です。

 

嘔吐物の「色・状態」から考えられる原因

嘔吐物の見た目は、体の中で起きている変化を知る手がかりになります。主な目安は、以下の通りです。

 

◆透明または泡状

空腹時間が長かったり、胃が刺激を受けたりした際に見られることがあります。

 

◆黄色い液体

胆汁が逆流し、胃を刺激している可能性があり、空腹時にみられます。

 

◆未消化のフード

早食いをした場合や、消化機能が低下している場合に起こりやすい状態です。

 

◆茶色っぽいもの、血が混じる

消化管の炎症や出血など、注意が必要な状態の可能性があります。

 

色や状態だけで原因を断定することはできませんが、いずれも体の異変を知らせる重要なサインです。吐いた回数や時間帯をメモしたり、可能であれば吐物の写真を残したりしておくと、診察時の判断に役立ちます。

 

猫の嘔吐で考えられる主な病気やトラブル

猫の嘔吐の原因には、以下のような病気やトラブルが関係しています。

・急性胃炎、胃腸炎
・毛球症
・異物誤飲
・内臓疾患(膵炎、腎臓病、肝臓病など)

ここで大切なのは「嘔吐そのものが病名ではない」という点です。嘔吐は、体の中で起きている異常が表に現れた結果として起こります。

また、当院でも嘔吐をきっかけに検査を進めた結果、リンパ腫の疑いが見つかったケースや、一見関係がなさそうに思える尿道閉塞や腎不全が背景にあった事例もあります。そのため、嘔吐以外の症状が目立たない場合でも、検査を行うことで初めて隠れていた原因が明らかになることがあります。

 

動物病院では何を調べる?

診察では、まず嘔吐の回数や経過、食事内容、吐いたタイミング、生活環境の変化などを詳しく伺います。そのうえで触診を行い、全身状態を確認します。

その後、必要に応じて、以下の検査を組み合わせて行います。

・血液検査
・レントゲン検査
・超音波検査
・内視鏡検査

内視鏡検査の特徴や検査を受けるまでの流れについてより詳しく知りたい方はこちら

 

なお、当院で嘔吐のご相談をいただいた場合、まず超音波検査を行い、胃腸の動きや異物の有無などを確認します。そのうえで、診察時の所見や症状も踏まえ血液検査を追加するなど、その子の状態に合わせた最適な検査内容を組み立てていきます。

早めに受診していただくことで、病状が複雑化する前に原因を絞り込み、その子にとってより最適な治療を選択できる可能性が高まります。また、日頃から健康診断を受けていると、過去のデータと比較できるため、変化に気づきやすくなり、早期発見につながることもあります。

 

迷ったら早めに相談を|かかりつけ医として

「吐く回数が増えた」「いつもと様子が違う」と感じた時点で、遠慮なくご相談ください。当院では、日常的な体調不良のご相談から、専門的な検査や治療まで幅広く対応しています。

また、救急診療の経験を踏まえ、必要な場合には二次診療施設とも連携し、その子に合った医療を提案できる体制を整えています。少しでも不安があれば、自己判断せずお気軽にご相談ください。

 

まとめ

猫の嘔吐は珍しい症状ではありませんが、すべてが様子見でよいとは限りません。

吐いた回数や元気の有無、吐物の色や状態を冷静に観察し、不安を感じた時点で相談することが、結果的に猫の負担を減らすことにつながります。

なお、当院では地域のかかりつけ医として、日常の小さな悩みから専門的な診療まで、飼い主様と一緒に愛猫の健康を支えていきます。少しでも気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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監修:米田 昂史(院長・獣医師)

 

米田 昂史(院長・獣医師)

<経歴・資格>
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北海道札幌市や東京都大田区の動物病院、さらに夜間救急動物病院目黒で勤務。心肺蘇生実技講習(RECOVER BLS & ALS Rescuer course)を修了し、救急医療にも精通している。

<ひとこと>
言葉を話せない動物たちそれぞれの個性を大切にし、飼い主様と相談しながら最善の治療を提案いたします。「気軽に立ち寄れる動物病院」であり続けるために、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。

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