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2026.02.13 犬や猫が震えるとき…寒さだけじゃない?|危険なサインと見極めのポイント

寒い季節になると、犬や猫が「震えていて心配になった」「なんとなく元気がない気がするけど、ただの寒さだろうか」そんなふうに感じたことはありませんか?

冬場は、犬や猫の「震え」に関するご相談が非常に多くなります。たしかに寒さによる震えも多くみられますが、実はそれだけが原因とは限りません。実際の診療現場では、震えが体調不良や中毒、さらには痙攣の前兆として現れるケースもあり、判断が非常に難しい症状のひとつです。

そこで今回は、「ただの震え」と見過ごされがちな症状の中に、どのような病気や緊急性が隠れているのか、飼い主様が知っておくべき見分け方や注意点などについて解説します。

■目次
1.犬や猫が「震える」理由とは?
2.冬に特に多い“寒さによる震え”とその見分け方
3.震えが生じたときに考えられる病気・異常
4.痙攣と震えはどう違う?緊急性が高いサインを見逃さないために
5.診断方法
6.まとめ

 

犬や猫が「震える」理由とは?

愛犬や愛猫が「ずっと震えているけれど、寒いだけ?」「急に震え始めたけど、何かの病気?」このようなご不安を感じたことがある飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。犬や猫が震える理由はひとつに限らず、さまざまな要因が考えられます。

代表的な原因としては以下のようなものがあります。

・寒さ
・ストレス
・発熱
・低血糖
・痛み
・気持ちが悪い、吐き気
・加齢による筋力低下、神経障害
・緊張、恐怖、不安(雷や花火など)
・見慣れない人や動物との接触
・興奮(うれしさや期待など)

このように、震えの原因は環境や心理的なストレス、生理的変化など多岐にわたります。そのため、「震えている=すぐに病気」と決めつける必要はありませんが、逆に「寒いだけだろう」と様子見をしてしまい、本来であれば早急な治療が必要な病気を見逃してしまうケースもあります。

また、震えは犬や猫の身体が発するSOSのサインであることも多いため、原因を安易に決めつけず、気になる場合は早めに動物病院で診察を受けることが大切です。

 

冬に特に多い“寒さによる震え”とその見分け方

冬場にもっとも多く見られるのが、寒さによる震えです。特に以下のような犬や猫は体温が下がりやすいため、震えやすい傾向があります。

・小型犬や猫
・シニア期の犬や猫
・短毛種や被毛の少ない犬や猫

また、以下のような状況では体が冷えやすく、震えが現れやすくなります。

・室温が低い
・冬の散歩の後、身体が冷えている
・被毛が濡れている状態

ただし、震えが本当に寒さによるものなのか、それとも他の要因によるものなのかは、見た目だけでは判断が難しいこともあります。目安としては、体を温めることで震えが自然に落ち着くかどうか、意識がはっきりしているかどうかがひとつの判断材料になります。

しかし、「寒いから震えているのだろう」と思い込んでしまうと、痛みや中毒などの疾患性の震えを見逃してしまう恐れがあります。そのため、少しでも違和感があれば、早めの受診が安心です。

 

震えが生じたときに考えられる病気・異常

寒さとは明らかに様子が違う震えや、長時間続く震えがみられる場合、以下のような何らかの病気や体調不良が隠れている可能性があります。

 

<痛みによる震え>

関節や内臓など、身体のどこかに痛みがあると、震えとして現れることがあります。たとえば、椎間板ヘルニアや関節炎、膵炎、尿路結石などでは、強い不快感や痛みによって震えが出ることがあります。震えに加えて、歩き方がおかしい、抱き上げると嫌がる、丸まった姿勢を続けるといった変化が見られる場合には注意が必要です。

 

<発熱・全身状態の悪化による震え>

感染症や内臓疾患などによって体温が上昇したり、全身状態が悪化したりすると、震えがみられることがあります。具体的には、子宮蓄膿症や腸炎、肺炎、腎臓病などが原因となるケースもあります。この場合、震えに加えて食欲低下や元気消失、呼吸が荒いといった症状が同時にみられることが少なくありません。

 

<低血糖による震え>

特に小型犬や子犬、若齢の犬で多くみられるのが低血糖による震えです。低血糖は、若齢性低血糖や肝臓の病気、内分泌疾患(副腎の病気など)が背景にあることもあり、放置すると意識障害や痙攣につながる可能性があります。

 

<中毒による震え>

チョコレート、玉ねぎ類、キシリトール、殺虫剤、人の薬などを誤って口にした場合、中毒症状の一つとして震えが現れることがあります。この場合、震えだけでなく、よだれの増加や嘔吐、下痢、落ち着きがなくなるなどの症状を伴うことが多く、早急な対応が必要です。

犬の下痢が起きる原因についてより詳しく知りたい方はこちら

 

<神経の病気による震え>

脳や神経に異常がある場合、震えが症状として現れることもあります。代表的なものとして、てんかんや脳炎、前庭疾患などがあり、ふらつきや眼振(目が揺れる)、意識の変化を伴うことがあります。

 

このように、震えは単なる一時的な反応ではなく、さまざまな病気の初期サインとして現れることがあります。また、震えが起こった時間帯やきっかけ、持続時間、他の症状の有無など、飼い主様が気づいた情報は診断の大切な手がかりになります。

 

痙攣と震えはどう違う?緊急性が高いサインを見逃さないために

「震えているのか、それとも痙攣なのかわからない」といったご相談をよくいただきます。見ただけでは区別がつきにくいことも多く、判断に迷うケースが多いのですが、痙攣が疑われる場合には以下のような特徴があります。

・意識がない
・呼びかけても反応がない
・立ち上がれない、歩けない
・全身が強くこわばっている

これらの症状が見られた場合、緊急性が非常に高く、すぐに動物病院を受診する必要があります。

当院では、救急医療に関わってきた経験をもとに、症状の現れ方や全身状態を確認しながら、緊急性が高いかどうかを慎重に判断しています。

また、診断において非常に有用なのが、実際に震えや痙攣が起こっている様子を記録した「動画」です。スマートフォンなどで可能な範囲で撮影しておくと、診察時の大きな手がかりになります。

 

診断方法

診察ではまず、「ABCD評価(Airway:気道、Breathing:呼吸、Circulation:循環、Disability:中枢神経)」の確認を行い、命に関わる緊急性がないかを慎重に見極めます。これは、今すぐ対応が必要な状態かどうかを判断するための、大切な初期評価です。

その後、全身状態をより詳しく把握するために、「TPR(Temperature:体温、Pulse:心拍数、Respiration:呼吸数)」をチェックします。

これらの情報を総合的に確認したうえで、必要に応じて以下のような検査を進めていきます。

・血液検査
・超音波検査
・レントゲン検査

こうした検査に加え、診断のカギを握るのが「問診」です。特に震えのように一時的に症状が出てすぐに消えてしまう場合には、飼い主様からの情報が非常に重要になります。問診では以下のような点をお伺いします。

・震えたのはどんな状況か
・どのくらいの時間震えていたか
・そのとき意識はあったか
・歩くことはできたか
・においや音への反応はどうだったか

これらは、診断の精度を高めるために欠かせない情報です。繰り返しになりますが、震えの様子を動画に残すことで、より正確な診断につながります。

 

まとめ

犬や猫の震えは、決して寒さだけが原因ではありません。痛みや発熱、低血糖、中毒、そして痙攣など、深刻な病気のサインである可能性もあります。そのため、「様子を見よう」と放置せず、少しでも不安を感じたら早めに動物病院へ相談することが大切です。

当院では、犬や猫の些細な変化にも寄り添い、飼い主様が安心して過ごせる毎日をサポートできるよう努めています。震えがみられた際は、早めの受診とともに、そのときの状況や様子の記録が、診断・治療の一助となります。

不安な症状があれば、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

 

監修:米田 昂史(院長・獣医師)

 

米田 昂史(院長・獣医師)

<経歴・資格>
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北海道札幌市や東京都大田区の動物病院、さらに夜間救急動物病院目黒で勤務。心肺蘇生実技講習(RECOVER BLS & ALS Rescuer course)を修了し、救急医療にも精通している。

<ひとこと>
言葉を話せない動物たちそれぞれの個性を大切にし、飼い主様と相談しながら最善の治療を提案いたします。「気軽に立ち寄れる動物病院」であり続けるために、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。

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