2025.11.07 猫の甲状腺機能亢進症|体重減少や多飲多食がみられたら要注意
「最近よく食べているのに、愛猫が痩せてきた気がする…」と感じたことはありませんか?このような変化は、加齢にともなう自然なものと思われがちですが、実は体の中でなにかしらの病気が進行している可能性があります。その中でもよく見られるのが「甲状腺機能亢進症」です。
この病気は10歳を超えるシニア猫によく見られる内分泌疾患であり、「食欲旺盛なのに体重が減る」「多飲多尿」といった、飼い主様が日常生活の中で気づきやすいサインが多く見られます。また、病気が進行すると命に関わる可能性もあるため、早期発見・早期治療が大切です。
そこで今回は猫の甲状腺機能亢進症について、症状や診断方法、治療方法、予防法などを解説します。

■目次
1.猫の甲状腺機能亢進症とは?
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法・日常生活での観察ポイント
6.まとめ
猫の甲状腺機能亢進症とは?
猫の甲状腺機能亢進症とは、甲状腺から分泌されるホルモン(T4)が過剰になることによって、体の代謝が異常に高まる病気です。このホルモンは本来、代謝を適切に保つために必要なものですが、過剰に分泌されることで体のあらゆる臓器に負担がかかります。
主な原因は甲状腺にできる良性の腫瘍で、特に10歳以上のシニア猫によく見られます。症状の初期段階では、活動的になったように見えることもありますが、それは病気による代謝異常のサインであることが多く、放置すると心臓や腎臓、血圧など、全身の健康に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
症状
猫の甲状腺機能亢進症は、日常のふとした瞬間に気づくことができる病気です。特に以下のような変化が見られた場合は注意が必要です。
・よく食べているのに体重が減っていく
・水をたくさん飲み、尿の量が増える(多飲多尿)
・落ち着きがなくなり、夜中に活発になる
・嘔吐や下痢を繰り返す
・毛づやが悪くなる
・心拍数が上がる
これらの症状は、「高齢だから仕方ない」と見過ごされることが多いですが、実際には甲状腺機能亢進症による代謝異常によって引き起こされている場合が少なくありません。
放置すると、心不全や高血圧などの合併症を引き起こす可能性があり、命に関わるケースもあります。そのため、早期に異変に気づき、動物病院を受診することがとても重要です。
診断方法
猫の甲状腺機能亢進症を診断する際、最も基本となるのは血液検査です。これは、血液中の甲状腺ホルモン(T4)の値を測定することで、過剰な分泌があるかどうかを確認します。
また、前述したように、この病気は心臓や腎臓など他の臓器に負担をかけることが多いため、以下のような追加検査が同時に行われることもあります。
・心臓の状態を調べるための心エコー検査
・血圧測定
・腎機能のチェックを含む血液検査
甲状腺ホルモンの異常が全身にどのような影響を与えているかを総合的に判断することで、適切な治療方針を立てることが可能になります。
治療方法
猫の甲状腺機能亢進症の治療は、症状の進行具合や体調、性格、生活環境に応じて、以下の方法を選択します。
<薬による治療>
最も一般的な治療方法です。甲状腺ホルモンの分泌を抑える内服薬を使用し、定期的に血液検査を行いながら投薬量を調整していきます。薬の副作用が見られることもありますが、多くの場合は獣医師が経過を見ながら安全にコントロールします。
<外科的手術・放射性ヨード治療>
甲状腺の腫瘍を外科的に摘出する方法や、放射性ヨードによって異常な甲状腺組織だけを選択的に破壊する治療法もあります。ただし、これらの方法は専門的な設備と経験を必要とするため、実施できる施設は限られています。
<食事療法>
ヨウ素の摂取量を制限する専用の療法食を用いて、甲状腺ホルモンの生成を抑える方法です。薬の服用が難しい猫や、他の疾患を併発している猫に対して選ばれることがあります。
いずれの治療方法を選択する場合も、継続的な管理が必要となります。そのため、飼い主様と猫の生活スタイルに合わせた治療計画を一緒に考えていくことが大切です。
予防法・日常生活での観察ポイント
猫の甲状腺機能亢進症は完全に防ぐことが難しい病気ですが、早期に異常を見つけることで重症化を防ぎ、健康な生活を長く維持することができます。そのために飼い主様ができる予防の工夫として、以下のような点が挙げられます。
まず、10歳を超えたシニア期の猫では、年に2回の定期健康診断を受けることが重要です。特に血液検査による甲状腺ホルモン値のチェックは、まだ症状が出ていない段階で異常を発見できる可能性があります。また、心臓や腎臓に負担がかかる病気でもあるため、併せて循環器や腎機能の検査を受けておくと安心です。
さらに、日常生活の中で飼い主様が以下を観察することも大切です。
✓よく食べるのに体重が減っていないか
✓水を飲む量や尿の量が増えていないか
✓夜中に落ち着きがなくなっていないか
これらの変化を記録しておくと、診察の際に獣医師が診断を進めやすくなります。
まとめ
猫の甲状腺機能亢進症は、「よく食べているのに痩せていく」「水をたくさん飲んで尿の量が増えた」といった日常的な変化から気づくことができる病気です。単なる加齢による変化だと捉えて見過ごしてしまうと、心臓や腎臓への負担が増し、命に関わる状態へと進行する可能性があります。
ただし、早期に発見して適切な治療をはじめることで、安定した生活を取り戻せる可能性が高まります。飼い主様の日々の観察と、継続的な治療によって、猫が長く元気に暮らす未来を支えることができるのです。
当院では、地域に密着した診療体制と確かな専門知識を活かし、猫の甲状腺機能亢進症の治療にも対応しております。少しでも気になる症状がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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