2025.09.01 温暖な鎌倉・湘南エリアだからこそ知っておきたい|犬の熱中症を見極める症状と対処法
「最近、うちの子がよくハァハァしているけど、大丈夫かな…」と感じたことはありませんか?
鎌倉・湘南エリアのように夏の気温と湿度が高くなりやすい地域では、人間と同様に犬も熱中症のリスクが非常に高まります。特に犬は人間のように全身で汗をかくことができないため、体温調節が苦手です。そのため、わずかな外出やエアコンの効いていない室内でも、熱中症を起こしてしまうことがあります。
今回は犬の熱中症について、段階別の症状やご家庭でできる応急処置の手順、さらに動物病院での治療方法などを解説します。
■目次
1.犬の熱中症の症状と危険度チェック
2.犬の熱中症応急処置
3.エキゾチックアニマルの熱中症対策
4.動物病院での治療方法
5.よくある質問(Q&A)
6.まとめ
犬の熱中症の症状と危険度チェック
犬の熱中症は、初期症状の段階で見逃さずに対処することが非常に重要です。ここでは、症状の進行度に応じて、3段階に分けてご説明します。
<危険度:★☆☆|軽度>
・開口呼吸(口を開けてハァハァと短く速い呼吸をする)
・体が熱く感じる
・ヨダレを垂らしている
これらの症状が見られる場合は、熱中症の初期症状の可能性があります。肉球や耳がいつもより熱いと感じたら、すぐに涼しい場所へ移動させて体温を下げましょう。
<危険度:★★☆|中等度>
・嘔吐や下痢
・体が震えている
・ふらついて立てなくなる
この段階では熱中症が進行し、体の内部にも影響が出始めている可能性があります。状態が悪化する前に、できるだけ早く動物病院を受診してください。
<危険度:★★★|重度>
・動けないほどぐったりしている
・けいれん発作が出ている
・意識がない・反応が鈍い
すぐに処置を行わなければ命にかかわる可能性が高い状態です。直ちに動物病院へ連絡・搬送してください。
犬の熱中症応急処置
万が一、愛犬に熱中症が疑われる症状が現れた場合、以下の手順で落ち着いて応急処置を行いましょう。
①涼しい場所に移動する
まずは直射日光や高温多湿の環境から離れ、風通しの良い涼しい場所に移動させてください。室内であればエアコンで室温を下げ、屋外であれば木陰などを選びましょう。
②首や脇の下を中心に冷やす
冷やすべきポイントは、首や脇の下、内股など太い血管が通っている部分です。保冷剤や凍らせたペットボトルをタオルで包み、これらの部位に当てましょう。また、常温の水を体にかけて扇風機などで風を送る方法も効果的です。
なお、氷水などで急激に冷やすと、血管が収縮し、かえって体内に熱がこもる原因となるため、絶対に避けてください。
③意識がある場合は常温の水を飲ませる
犬が自力で水を飲める状態であれば、常温の水を与えましょう。ただし、飲めない、飲まない場合は無理に与える必要はありません。
これらの応急処置はあくまで「一時的な対応」に過ぎません。症状が軽く見えても、内臓にダメージを受けている可能性があります。そのため、応急処置を済ませたら、早めに動物病院を受診してください。
エキゾチックアニマルの熱中症対策
近年では犬だけでなく、エキゾチックアニマルの熱中症も増加傾向にあります。ここでは、当院で診察を行っているエキゾチックアニマルを中心に、それぞれの特性と熱中症対策についてご紹介します。
<ウサギの場合>
ウサギは長い耳を使って放熱を行いますが、垂れ耳や耳が小さい品種は放熱が苦手です。また、汗をかけないため、暑さに非常に弱い動物です。そのため、室温は26℃以下に保ち、冷えすぎないように注意しましょう。
<フェレットの場合>
フェレットはもともと体温調節機能を備えていないため、特に暑さに弱い動物です。また、湿度にも弱いため、室温は25℃前後、湿度は50%前後を目安に調整しましょう。
<ハムスターの場合>
ハムスターは品種によって暑さに対する耐性が異なります。ジャンガリアンハムスターやロボロフスキーハムスターなど、寒冷地原産の品種は特に暑さに弱く注意が必要です。また、体が小さい分、体温が急激に上がると命にかかわる状態に陥る可能性が高いため、飼育ケージ内(ハムスターのいる場所)は25℃を超えないように調整してください。また、冷却グッズを使う際は水滴が体につかないよう注意し、体を濡らさない工夫も大切です。
動物病院での治療方法
動物病院では、まず身体検査や血液検査によって全身の状態を評価します。体温が高い場合は、引き続き冷却処置を行います。
軽度の熱中症であれば、皮下点滴を行ったうえで、自宅で経過を観察することもあります。しかし、中等度から重度の場合には、入院による静脈点滴や必要に応じて内臓のダメージを軽減するための治療を実施することがあります。
なお、熱中症は時間との勝負です。早期に適切な治療を受けることで、回復の見込みも大きく変わってきます。
よくある質問(Q&A)
Q:室内でも熱中症になることはありますか?
A:はい、あります。動物は全身で汗をかけないため、室内の温度・湿度が高い状態が続くと体温をうまく下げられず、熱中症になるリスクがあります。エアコンの効いていない室内や、換気が不十分な空間には注意しましょう。
Q:熱中症の注意点は、小型犬と大型犬で異なりますか?
A:はい、異なります。大型犬は体が大きいため、体内に熱がこもりやすく、暑さに弱い傾向があります。一方、小型犬は地面から近いため、アスファルトなどからの照り返しの影響を受けやすく、特に夏場の散歩時には注意が必要です。
Q:涼しくしたら落ち着いたので、このまま様子を見てもいいですか?
A:いいえ、絶対に様子見はしないでください。見た目では落ち着いているように見えても、体内では深刻なダメージが進行している場合があります。症状が改善しても必ず動物病院で診察を受けてください。
まとめ
鎌倉・湘南エリアの夏は、30℃を超える日が続き、高温多湿な環境が熱中症の大きなリスクとなります。
熱中症は早期に対応すれば回復が見込めますが、放置すると命に関わることもあります。そのため、少しでも様子がおかしいと感じたら、自己判断で様子を見ず、すぐに動物病院を受診しましょう。
当院では、犬や猫はもちろん、ウサギやフェレット、ハムスターなどのエキゾチックアニマルの診察にも対応しております。何かわからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。大切なご家族が健康に夏を乗り越えられるよう、全力でサポートいたします。
★こちらの情報が参考になった方は、星マークをタップしてご評価ください★
犬、猫、エキゾチックアニマル(ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットなどの四つ足で毛の生えた小型哺乳類)の診察は、『マーズペットクリニック』
神奈川県鎌倉市にある動物病院
TEL:0467-39-3882