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2026.02.13 冬に急増する猫の泌尿器トラブル|「トイレに行くのに出ない・何度も行く」は危険サイン?

寒さが厳しくなる1〜2月、猫が「何度もトイレに行くのに尿が出ていない」「踏ん張っても尿が出ない」「尿に血が混じっている」といった異変に気づいたことはありませんか?

こうした症状は、泌尿器系のトラブルのサインかもしれません。実は、猫の泌尿器トラブルは腎臓病よりも身近で起こりやすい病気であり、特に冬はその発症が増える傾向にあります。中でも「尿道閉塞」は緊急性が非常に高く、放置すると命に関わる危険な状態に陥ることもあるため、早期発見と適切な対処が重要です。

今回は、冬に増える猫の泌尿器トラブルについて、見逃してはいけないサインや主な原因、動物病院での検査・治療、ご自宅でできる予防策などをご紹介します。

■目次
1.なぜ冬に猫の泌尿器トラブルが増えるのか?
2.見逃してはいけない泌尿器トラブルのサイン
3.猫の泌尿器トラブルが起こる主な原因とは?
4.検査と治療の流れ
5.ご自宅でできる予防と日常ケア
6.まとめ

 

なぜ冬に猫の泌尿器トラブルが増えるのか?

猫はもともと泌尿器系の病気にかかりやすい動物であり、飼い主様が最も直面しやすい“身近な疾患”のひとつです。中でも冬は、さまざまな要因が重なり、泌尿器のトラブルが起こりやすい季節といえます。

まず、寒さの影響で水を飲む量が自然と減少するため、尿が濃くなり膀胱内に炎症が起きやすくなります。これにより膀胱炎や尿結石などのトラブルが引き起こされるのです。

加えて、暖房による室内の乾燥や、寒さのために猫の運動量が減ること、さらにはトイレ環境の変化(トイレが寒い場所にあるなど)も泌尿器の健康を損なう要因になります。

当院にも、毎年1〜2月を中心に泌尿器の不調に関するご相談が多く寄せられており、季節性がはっきりと見られる病気であるといえます。

 

見逃してはいけない泌尿器トラブルのサイン

猫の泌尿器トラブルでは、以下のような症状が見られることがあります。これらのサインにひとつでも当てはまる場合には、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

・トイレに行く回数が急に増えた
・トイレを何度も行き来するが排尿していない
・尿が出ないのに何度も踏ん張る
・血尿が出ている
・排尿時に苦しそうに鳴く
・陰部をしきりに舐めている
・尿が薄い、濃い

特にオス猫は尿道の構造が細く長いため、「尿道閉塞」を起こしやすい傾向があります。尿道閉塞とは尿がまったく出なくなる状態で、急速に腎臓に負担がかかり、腎不全や命に関わることもある非常に危険な病態です。

猫の腎不全の当院での診断・治療の流れについてより詳しく知りたい方はこちら

 

また、症状が軽いうちは「トイレに行く回数が多い」程度にしか見えないこともありますが、決して油断せず、異常が見られたらすぐに受診することが大切です。

 

猫の泌尿器トラブルが起こる主な原因とは?

猫の泌尿器トラブルの原因は、体質的な要因から生活環境まで多岐にわたります。特に注意したい主な原因として、以下の3つが挙げられます。

 

<水分不足>

最も多いのが「水分不足」による影響です。水分が不足すると尿が濃くなり、膀胱内で炎症や結石の形成が起こりやすくなります。

 

<ストレス>

猫は環境の変化にとても敏感な動物です。特にストレスが原因で起こる「特発性膀胱炎(ストレス性膀胱炎)」は、猫の泌尿器疾患の中でも多く見られるタイプです。

 

<細菌感染>

細菌に感染して膀胱に炎症が起こる「細菌性膀胱炎」などが原因となるケースもあります。特にメスは尿道が太くて短いため、オスよりも体内に細菌が入りやすく発症しやすいといわれています。

 

ほかにも、以下のような要因が泌尿器トラブルの引き金となる場合があります。

・多頭飼育によるトイレ不足
・トイレ掃除の頻度が少ない
・音やにおいの変化など、猫にとっての環境ストレス
・年齢による体調の変化
・肥満や運動不足による代謝低下

こうしたさまざまな要因が重なることで、猫は泌尿器の不調を起こしやすくなります。そのため、日常生活の中でできるケアを行い、なるべく原因を取り除いてあげることが、予防にも繋がります。

 

検査と治療の流れ

泌尿器トラブルが疑われる場合には、早めに動物病院を受診し、適切な検査と治療を受けることが必要です。当院では、以下のような検査を実施しています。

 

<尿検査>

尿の比重や潜血、細菌の有無などを確認し、泌尿器の状態を初期評価します。

 

<超音波検査>

膀胱の壁の炎症や、結石、尿道の詰まりなどをリアルタイムで観察します。

 

<血液検査>

必要に応じて腎臓の機能を調べ、体全体への影響を確認します。

 

また、治療は原因や状態に応じて以下のように対応します。

・炎症や出血を抑える内服薬
・結石のタイプに応じた療法食の導入
・点滴による水分補給
・尿道閉塞がある場合は、緊急のカテーテル処置など

なお、当院では症状の内容や重症度を丁寧に評価したうえで、それぞれに適した治療方針を判断し、飼い主様へ分かりやすくご説明することを大切にしています。治療について、ご不明点やご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。

 

ご自宅でできる予防と日常ケア

猫の泌尿器トラブルは、日々の生活環境を見直すことで予防や再発防止につなげることが可能です。ご家庭でも以下のような工夫を取り入れてみてください。

 

<飲水量を増やす工夫>

猫はあまり積極的に水を飲まないため、水分摂取量を意識的に増やすことが大切です。例えば、複数の給水ポイントを設ける、循環式の給水器を使用する、ウェットフードを取り入れるといった方法があります。

 

<トイレの個数と配置>

トイレの数が少ないと、猫は排尿を我慢してしまいがちです。基本は「頭数+1個」が理想です。トイレは静かで落ち着いた場所に設置し、ストレスを感じさせないようにしましょう。

 

<こまめなトイレ掃除>

トイレが汚れていると、猫は使用を避けて排尿を控える傾向にあります。毎日こまめに掃除をし、長時間留守にする際には自動トイレなどの導入も検討してみましょう。

 

<尿の観察習慣をつける>

尿の量・回数・色に普段から注意を払い、少しの変化にも早く気づけるようにしておくことが、早期発見に繋がります。

 

また、生活の中で猫がストレスを感じにくい環境づくりを行うことも重要です。再発予防の観点からも、飼い主様と動物病院が協力して生活環境を整えていくことが理想的です。

 

まとめ

猫の泌尿器トラブルは「よくある病気」と捉えられがちですが、早めの気づきと受診が何よりも大切です。特に冬は、尿道閉塞のリスクが高まる季節であり、放置すると命に関わる状態に進行することもあります。

そのため、トイレの様子に少しでも違和感を感じた場合には、「様子を見よう」と考えるのではなく、できるだけ早く動物病院を受診してください。

当院では、日々のケアに関するアドバイスから、緊急時の対応まで、地域の猫と飼い主様の安心を第一に考えて診療を行っています。少しでも気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

監修:米田 昂史(院長・獣医師)

 

米田 昂史(院長・獣医師)

<経歴・資格>
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北海道札幌市や東京都大田区の動物病院、さらに夜間救急動物病院目黒で勤務。心肺蘇生実技講習(RECOVER BLS & ALS Rescuer course)を修了し、救急医療にも精通している。

<ひとこと>
言葉を話せない動物たちそれぞれの個性を大切にし、飼い主様と相談しながら最善の治療を提案いたします。「気軽に立ち寄れる動物病院」であり続けるために、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。

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