2025.12.16 【獣医師と考える】愛犬のお留守番|「鳴く・暴れる」分離不安とストレス対策
「外出するとずっと鳴いてしまう」「帰宅したらクッションが破れていた」など、愛犬がお留守番中に気になる行動を見せたことはありませんか?特に年末年始のように外出の機会が増える時期は、普段と異なる生活リズムになりやすく、犬にとっても大きな負担となることがあります。
しかし、こうした“お留守番のストレス”は珍しいことではありません。犬の性格や年齢、生活環境によって反応に違いがありますが、多くの場合、飼い主様が適切に向き合うことで改善が期待できます。
そこで今回は、愛犬のお留守番のストレスを軽減するためにできることや、分離不安の見極め方、そして性格に応じた接し方などをご紹介します。

■目次
1.お留守番が増える時期に意識したいこと
2.分離不安の線引きは性格で変わる
3.ストレス軽減のためにできるトレーニングと環境整備
4.どこまで介入すべき?──性格に合わせたバランスの取り方
5.迷ったらまずはご相談を:マーズペットクリニックでできるサポート
6.まとめ
お留守番が増える時期に意識したいこと
犬は日々の習慣や生活リズムの変化にとても敏感な動物です。飼い主の外出が増えたり、来客が続いたりといった刺激は、犬にとっては大きなストレス源になることがあります。特に年末年始のようなイベント時期は、生活サイクルが乱れがちで、犬の落ち着きにも影響することが少なくありません。
また、普段よりも「ひとりで過ごす時間」が増えると、以下のような行動が起きやすくなります。
・家具や物を噛んで壊す
・吠え続ける
・異物を飲み込む
・そわそわと落ち着かない様子を見せる
これらの行動はストレスのサインであると同時に、誤飲による内臓トラブルや熱中症などの健康リスクにもつながることがあります。そのため、お留守番の前には、安全な環境を整えたり、適切なトレーニングを取り入れたりすることがとても大切です。
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分離不安の線引きは性格で変わる
「分離不安という言葉は知っているけれど、うちの子がそれに当てはまるのか分からない」そう感じたことはありませんか?
分離不安は、飼い主と離れることに対する強い不安が原因で起こる行動問題です。ただし、その症状や程度はそれぞれの犬の性格や過去の経験によって大きく異なります。以下のような行動が見られる場合は、分離不安の可能性が考えられます。
・飼い主が外出の準備を始めた時点で落ち着きを失う
・留守中ずっと鳴き続ける
・飼い主が帰宅した際に過剰に興奮する
一方で、似たような行動でも、以下のように原因が異なることもあります。
・退屈:運動不足や刺激の欠如が原因で、家具を噛むなどのいたずらをする
・警戒:外の音や不審な気配に反応して吠える
このように、「どこまでが分離不安なのか」を見極めるには、愛犬の性格や過去の経験を含めて慎重に観察することが必要です。中には、軽度であれば生活改善だけで落ち着くケースもありますが、重度の場合は行動療法や治療を視野に入れる必要があります。
ストレス軽減のためにできるトレーニングと環境整備
お留守番中のストレスは、体調の悪化や問題行動にもつながる可能性があります。大切なのは、日頃から少しずつ慣れさせることと、安全で快適な環境を整えることです。以下のような工夫が効果的です。
<ひとり時間を徐々に増やすトレーニング>
まずは数十秒だけ部屋を離れて、落ち着いて過ごせたらしっかり褒めてあげましょう。問題がなければ少しずつ時間を延ばし、最終的に数時間の留守番ができるように段階を踏んで慣れさせていきます。
<外出前に十分な運動をさせる>
エネルギーを発散させておくことで、留守番中の不安感やそわそわした様子が軽減されやすくなります。散歩の時間をいつもより長めに取ったり、遊びでしっかりと体を動かしたりするようにしましょう。
<知育トイ・フードボールの活用>
コングなどにフードを詰めたおもちゃは、退屈しのぎだけでなく、噛む行動によって気分を落ち着かせる効果もあります。さらに、フードを転がしながら少しずつ取り出すタイプのフードボールや、中身を取り出すために鼻先や前足を使って工夫するパズル型のおもちゃなど、犬が頭を使って遊べる知育トイを用意しておくと、お留守番のストレス軽減に役立ちます。
<安心できるスペースづくり>
クレートやベッドなど、犬が安心してくつろげるスペースを日頃から用意しておくことも大切です。新しい環境はすぐには慣れないことが多いため、留守番の直前ではなく、普段から過ごす習慣をつけておくと良いでしょう。
<生活リズムを一定に保つ>
ごはんやお散歩の時間がバラバラになると、不安を感じやすくなります。可能な限り毎日の生活スケジュールを安定させることで、犬も安心して過ごせるようになります。
これらの対策は、犬種や年齢、性格によって効果に違いが出ることがあります。そのため、ひとつの方法にこだわらず、いくつか試しながらその子に合った工夫を取り入れてみてください。
どこまで介入すべき?──性格に合わせたバランスの取り方
愛犬の不安を思うあまり、ついつい過剰に構ってしまったり、常に一緒にいようとしたりしていませんか?しかし、実は過度な介入が逆に分離不安を悪化させてしまうこともあります。
例えば、普段から抱っこ中心で過ごしていた犬の場合、いきなり“ひとり時間”を与えることで不安が増してしまうケースがあります。そのような場合には、まずは抱っこの時間を徐々に減らすなど、段階的な距離の取り方が必要です。
逆に、もともと自立心の強い犬であれば、一定のひとり時間を設けることで安心して過ごせるようになることもあります。
前述したとおり、大切なのは性格に合わせて適切なバランスを見つけることです。飼い主様にとっても無理のない範囲で、少しずつ関わり方を調整していくことが、長く続けられるコツとなります。
迷ったらまずはご相談を:マーズペットクリニックでできるサポート
行動面の問題がなかなか改善されない場合、背景に体調不良が隠れていることもあります。たとえば、痛みや内臓疾患、甲状腺機能の異常など、ストレスと似た行動を引き起こす病気があるため、まずは健康チェックを受けることをおすすめします。
なお、当院では必要に応じて、行動治療の専門機関と連携し、以下のようなサポートをご提案することも可能です。
・行動カウンセリング
・サプリメントやフェロモン製剤の活用
・薬による治療の選択肢
もし「これって分離不安なのかな?」と迷われた場合でも、まずはお気軽に様子を共有いただくだけでも構いません。飼い主様の不安に寄り添い、無理のない方法を一緒に探していきます。
当院の内視鏡検査の特徴や検査を受けるまでの流れについてより詳しく知りたい方はこちら
まとめ
犬がお留守番にストレスを感じるのは、決して珍しいことではありません。多くの犬が抱える悩みであり、適切な対応をすれば少しずつ改善していくケースがほとんどです。大切なのは、その子に合った方法で、無理のない範囲で向き合っていくことです。
「うちの子も分離不安かもしれない」と思ったときは、一人で抱え込まず、ぜひ一度当院にご相談ください。当院では、飼い主様と愛犬の気持ちに寄り添いながら、安心してお留守番できる環境づくりを一緒にサポートいたします。
監修:米田 昂史(院長・獣医師)
米田 昂史(院長・獣医師)
<経歴・資格>
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北海道札幌市や東京都大田区の動物病院、さらに夜間救急動物病院目黒で勤務。心肺蘇生実技講習(RECOVER BLS & ALS Rescuer course)を修了し、救急医療にも精通している。
<ひとこと>
言葉を話せない動物たちそれぞれの個性を大切にし、飼い主様と相談しながら最善の治療を提案いたします。「気軽に立ち寄れる動物病院」であり続けるために、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
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