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2025.12.16 年末年始の緊急事態に備える|元救急医の獣医師が教える命を守る事前準備

「年末年始だから、動物病院が閉まっていて困った」「急に体調を崩したとき、どこに連絡したらいいのか分からない」。そんな経験や不安を抱えたことがある飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

年末年始は、多くの動物病院が休診となり、通常の診療体制とは大きく異なる時期です。その一方で、来客や外出の機会が増えることで、食べてはいけないものを誤って食べてしまう事故や、寒さによる持病の悪化などが起こりやすくなります。そのため、この時期を安心して迎えるためには、飼い主様による“事前の備え”がとても重要です。

今回は、救急医療の現場を経験した獣医師の視点から、年末年始に増えるトラブルとその対策、そして万が一に備えるために必要な準備などについてご紹介します。

■目次
1.年末年始に増えるトラブルと環境で悪化しやすい症状
2.事前の情報収集が命を守る|かかりつけ医+周辺救急の把握
3.緊急時に伝えるべき「情報」の整理
4.緊急時に役立つ「記録」の重要性|写真と動画
5.事前に整えておきたい「生活環境」
6.まとめ

 

年末年始に増えるトラブルと環境で悪化しやすい症状

年末年始に特に注意したいトラブルには、以下のようなものがあります。

・誤食
・嘔吐や下痢
・骨折などの外傷
・呼吸の異常
・持病の悪化(心臓・呼吸器・関節など)

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この時期は、おせち料理やチョコレート、ネギ類、串に刺さった食材、アルコールといった犬や猫にとって危険な食材を目にする機会が増えます。その結果、誤食による緊急搬送が例年多く報告されています

中には「応急処置として自宅で吐かせた」というケースもあり、実際に口の中に手を入れて吐かせようとした飼い主様もいらっしゃいますが、これは非常に危険です。

無理に口へ手を入れると、犬や猫が驚いて強く噛んでしまったり、喉や食道を傷つけてしまったりする恐れがあります。また、吐かせる処置自体も方法やタイミングを誤ると状態を悪化させてしまうことがあるため、自己判断せず、すぐに動物病院に電話で相談することが何よりも大切です。

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また、年末年始は寒さが厳しくなるため、心臓病や呼吸器疾患、関節炎などの持病を持っている犬や猫では症状が急激に悪化することがあります。特に、呼吸が苦しそう、歯ぐきが白っぽい、ぐったりしているといった症状が見られる場合は、命に関わる緊急事態の可能性があります。迷ったときこそ、ためらわずにかかりつけの動物病院または救急病院に連絡をしましょう。

 

事前の情報収集が命を守る|かかりつけ医+周辺救急の把握

動物病院の多くが休診となる年末年始は、あらかじめ以下のような情報を把握しておくことが大切です。

・かかりつけ動物病院の休診日と最終診療日
・休診期間中の電話対応・救急対応の有無
・必要な薬の追加処方や健康チェックのタイミング
・自宅から通える範囲にある夜間・救急動物病院の確認

特に年末の動物病院は混雑しやすいため、持病がある犬や猫、日頃から気になる症状がある場合には、早めに診察を受けておくことをおすすめします。また、年末年始にかかりつけの病院が閉まっている場合に備えて、夜間や救急に対応している動物病院の住所・電話番号・診療時間・アクセス方法などを事前に調べておき、手元にメモとして残しておくと安心です。

実際に救急の現場では、「どこに連れて行けばよいかわからず、時間をロスしてしまった」という飼い主様の声を耳にすることが少なくありません。事前の情報収集が、迷いや不安を減らす大きな手助けになります。

 

緊急時に伝えるべき「情報」の整理

救急病院では初診となるケースが多く、動物の情報がそろっているかどうかで診断や治療のスピードが大きく変わってきます。

そのため、以下の情報をあらかじめまとめておくことをおすすめします。

・これまでの病歴
・現在抱えている持病
・アレルギーの有無(食べているご飯のメーカー・種類)
・ワクチン接種歴
・現在服用している薬の名称と用量
・処方薬の残数や飲ませ方のメモ

こうした情報があれば、診察時に飼い主様が緊張していても正確に伝えることができ、診断が迅速かつ的確に進む可能性が高くなります。万が一に備えて、普段から記録をしておく習慣をつけておくと安心です。

 

緊急時に役立つ「記録」の重要性|写真と動画

急な体調の変化が起こった際、言葉だけで症状を説明するのはとても難しいものです。そのため、特に以下のような症状では動画での撮影が非常に有効です。

・発作のような動き
・嘔吐や咳
・歩き方の異常
・呼吸の様子

これらの様子をスマートフォンなどで動画に記録しておくことで、実際に症状が治まった後でも獣医師に正確な情報を伝えることができます。また、動画に加えて「何時ごろに起こったか」という時間のメモも一緒に残しておくと、さらに診断の精度が高まります。

緊急時の判断を早めるためにも、「何かいつもと違う」と感じたら、まずは動画を撮る習慣をつけておくと良いでしょう。

 

事前に整えておきたい「生活環境」

年末年始を快適かつ安全に過ごすためには、犬や猫にとって安心できる環境を整えることも欠かせません。

前述したとおり、特に冬は冷えによって心臓病・呼吸器疾患・関節炎が悪化しやすい季節です。そのため、以下のような寒さ対策を見直してみてください。

・暖房器具を使用して室温を一定に保つ
・ふかふかで温かい素材の寝床を用意する
・寒がりな犬や猫には洋服を着せる
・加湿器を使用し、乾燥を防ぐ

さらに、暖房器具をつけたまま外出する場合には、火災や事故のリスクを避けるためにも安全対策を徹底しましょう。また、留守番中に安心して過ごせるよう、「その子にとって落ち着ける空間」を整えることが、トラブルの予防にもつながります。

 

まとめ

救急医療の現場を経験してきた立場から強くお伝えしたいのは、「事前に備えているご家庭ほど、犬や猫の命を守ることができる」という事実です。普段は元気に見える犬や猫でも、年末年始の急なトラブルは誰にでも起こり得ます。そのため、「うちの子は大丈夫」と過信せず、今のうちからしっかりと準備をしておきましょう。

年末年始を安心して迎えるためにも、年末に入る前に、少しでも不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。当院では、救急医療の経験を活かし、飼い主様と犬や猫の安全な年末年始を全力でサポートいたします。

当院の年末年始の休診日はこちらからご覧いただけます

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監修:米田 昂史(院長・獣医師)

 

米田 昂史(院長・獣医師)

<経歴・資格>
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北海道札幌市や東京都大田区の動物病院、さらに夜間救急動物病院目黒で勤務。心肺蘇生実技講習(RECOVER BLS & ALS Rescuer course)を修了し、救急医療にも精通している。

<ひとこと>
言葉を話せない動物たちそれぞれの個性を大切にし、飼い主様と相談しながら最善の治療を提案いたします。「気軽に立ち寄れる動物病院」であり続けるために、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。

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