2025.11.20 犬の下痢が続くときは注意!|自宅での対応と病院を受診すべきサイン
犬と暮らしていると、おなかの調子が悪くなる場面に遭遇することは少なくありません。特に下痢は、比較的よく見られる症状のひとつです。
しかし、「一時的なものだから様子を見ても大丈夫なのか」「それともすぐに動物病院へ連れて行くべきなのか」と判断に迷う飼い主様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、犬の下痢が起きる原因や自宅で様子を見てもよいケース、動物病院を受診すべきサインなどについて解説します。

■目次
1.犬の下痢とは?
2.犬の下痢の原因とは?
3.自宅で様子を見てよいケース|安心できるサイン
4.受診が必要なケース|すぐに病院へ行くサイン
5.診察と治療の流れ
6.まとめ
犬の下痢とは?
犬の下痢とは、腸の中の水分バランスが崩れて、通常よりも柔らかい便や水のような便が出る状態を指します。一過性の消化不良が原因で自然に治ることもありますが、感染症や腫瘍など、重篤な病気が隠れている場合もあるため油断は禁物です。
また、下痢がどのような原因で起こっているのかを見極めるには、便の状態を注意深く観察することが大切です。以下のような点に注目してください。
<色>
健康な便は濃い茶色ですが、白っぽい便、黒くタール状になっている便、赤い血が混じっている便は注意が必要です。
<形状>
通常の便は崩れない程度の固さを保っていますが、下痢では形を保てず泥状や水様になることがあります。
<におい>
消化がうまくできていない場合、においが強くなったり酸っぱいような臭いがしたりすることがあります。
<ゼリー状の粘膜便や血便>
これは腸に炎症が起きており、粘膜が剥がれ落ちている可能性があります。すぐに動物病院への受診が必要です。
これらの情報は診断の手がかりとなるため、受診の際には便を持参するか、スマートフォンなどで便の写真を撮影しておくと診察がスムーズになります。
犬の下痢の原因とは?
犬の下痢は、以下のような原因によって引き起こされます。中には深刻な病気が背景にあることもあるため、原因を知っておくことが大切です。
<急なフードの変更や誤食>
胃腸に負担がかかり、下痢を引き起こすことがあります。
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<拾い食い>
散歩中などに落ちているものを口にした場合、中毒や細菌感染、異物の摂取によって下痢が起こることがあります。
<ストレス>
旅行や引っ越し、雷、長時間の留守番など環境の変化によって自律神経が乱れ、下痢になることもあります。
<感染症や寄生虫>
特に子犬では免疫力がまだ十分ではないため、パルボウイルスやコロナウイルスなどのウイルス感染、コクシジウムやジアルジアといった寄生虫による下痢が起こりやすくなります。
<内臓疾患や腫瘍>
シニア期に入った犬では、膵炎や慢性腎臓病、消化管の腫瘍などが下痢の原因となることもあります。
このように原因は多岐にわたり、緊急性の有無を見極めるには、犬の様子や便の状態をしっかり観察することが大切です。
自宅で様子を見てよいケース|安心できるサイン
軽度の下痢であれば、ご自宅で様子を見ても問題ない場合があります。以下のようなサインが見られるときは、まずは胃腸を休めることを目的として、半日〜1日程度の絶食と水分補給を行ってください。
・食欲や元気があり、下痢の回数が1〜2回でその後は落ち着いている
・嘔吐や発熱がなく、水分がしっかり摂れている
・拾い食いの心当たりがなく、便に血液や粘液が混じっていない
絶食後、状態が安定しているようであれば、胃腸への負担が少ない食事に切り替えて少しずつフードを再開しましょう。おすすめは、茹でたささみや、動物病院で処方される消化の良い療法食です。
ただし、食事を再開する際も急に通常の食事に戻すのではなく、少量から始めてゆっくりと元のフードに戻していくことがポイントです。不安な場合は、獣医師に相談しましょう。
受診が必要なケース|すぐに病院へ行くサイン
以下のような症状が見られる場合は、脱水や重度の感染症のリスクが高くなるため、早急に動物病院を受診してください。
・ぐったりしていて元気がない
・嘔吐を繰り返している
・血便、黒いタール状の便、ゼリー状の粘液便が続いている
・水を飲んでもすぐに吐いてしまう
・子犬や老犬で下痢が1日以上続いている
・下痢の症状が3日以上続いている
・拾い食いの可能性がある(特に異物の摂取や毒物の誤食が疑われる場合)
これらのサインがあれば、自己判断で様子を見るのではなく、すぐに動物病院での診察を受ける必要があります。
診察と治療の流れ
当院では、犬の下痢に対して丁寧かつ迅速な診察を心がけています。症状の程度に応じて、以下の検査を行い、原因を正確に見極めたうえで治療を進めます。
・問診・身体検査
食事内容、下痢の回数や持続期間、便の状態、最近の行動や生活環境の変化などを詳しくお伺いします。
・便検査
寄生虫の有無や腸内環境のバランスを確認します。
・血液検査
感染症や内臓疾患の有無を調べるために行います。
・画像検査(レントゲン・エコー)
腫瘍や異物の有無、膵炎や腸の炎症を確認するために実施することがあります。場合によっては内視鏡検査を用いることもあります。
これらの検査結果をもとに、それぞれの状態に応じて治療を行いますが、一般的には以下のような方法を用いることが多いです。
<急なフードの変更や誤食が原因の場合>
一時的に絶食して胃腸を休ませたのち、消化に優しい療法食や整腸剤を使用します。症状が強い場合は点滴で脱水を防ぎます。
<拾い食いが原因の場合>
感染が原因であれば抗生剤を使用し、異物が消化管に残っているときは内視鏡や外科手術で除去します。
<ストレスが原因の場合>
まずは環境を整えてストレスの原因を取り除きます。症状が続く場合は整腸剤や腸内環境を整えるサプリメントを併用することがあります。
<感染症や寄生虫が原因の場合>
ウイルス感染では輸液や制吐剤などの対症療法を中心に行い、寄生虫が検出された場合は種類に合わせた駆虫薬を使用します。重度の場合は入院治療が必要になることもあります。
<内臓疾患や腫瘍が原因の場合>
原因となる疾患の治療を優先し、必要に応じて点滴や投薬、外科的処置を行います。
また、当院では日常的な健康相談から急な体調不良への対応まで、幅広く診療しています。分からないことがありましたら、安心してご相談ください。
まとめ
犬の下痢は、身近でよくある症状だからこそ、軽く考えてしまいがちですが、なかには早期の治療が必要なケースもあります。「少し様子を見てもよいサイン」と「すぐに病院へ行くべきサイン」を正しく見極めることで、飼い主様も落ち着いて対応することができるようになります。
当院では、下痢の症状に対して丁寧な診察を行い、原因に合わせた最適な治療をご提案いたします。さらに、再発を防ぐための食事指導や生活習慣の見直しもサポートしております。
「この程度で相談してもいいのかな」と迷うことがあれば、どうぞお気軽にお電話ください。飼い主様の不安に寄り添い、ご愛犬の健康を守るために、スタッフ一同、心を込めて対応させていただきます。
監修:米田 昂史(院長・獣医師)
米田 昂史(院長・獣医師)
<経歴・資格>
北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、北海道札幌市や東京都大田区の動物病院、さらに夜間救急動物病院目黒で勤務。心肺蘇生実技講習(RECOVER BLS & ALS Rescuer course)を修了し、救急医療にも精通している。
<ひとこと>
言葉を話せない動物たちそれぞれの個性を大切にし、飼い主様と相談しながら最善の治療を提案いたします。「気軽に立ち寄れる動物病院」であり続けるために、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
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