2025.09.01 犬の歯石取りのオススメ頻度は?|無麻酔 vs 麻酔 の違いとメリット
「愛犬の口が臭う…」「歯石を取りたいけど、麻酔が不安」そんなふうに感じたことはありませんか?
犬の口腔トラブルは、見た目だけでなく全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。なかでも歯石の蓄積は、放置すると歯周病を引き起こし、重篤な病気につながることもあります。そのため、日常的なケアと動物病院での定期的なチェックが大切です。
今回は犬の歯石取り(スケーリング)について、おすすめの頻度や麻酔の有無による違い、日常的なケアの重要性などを解説します。
■目次
1.犬の歯石が引き起こす健康リスクとは?
2.動物病院でのスケーリング(歯石除去)について
3.無麻酔でのスケーリングのリスクと日常ケアの重要性
4.よくある質問(Q&A)
5.まとめ
犬の歯石が引き起こす健康リスクとは?
犬の口の中では、食後に残った細菌や汚れが歯の表面に付着し、やがて「プラーク(歯垢)」へと変化していきます。このプラークが石灰化して硬くなったものが「歯石」です。歯石は非常に固く、一度付いてしまうとご自宅でのケアでは取り除くことができません。
歯石が蓄積すると、その表面にさらにプラークがつきやすくなります。やがて歯茎に炎症を起こし、歯肉炎から「歯周病」へと進行します。重度になると、歯を支える骨(歯槽骨)が破壊され、抜歯処置が必要になる場合もあります。
また、歯周病が進むと炎症が広がり、鼻にまで影響することがあります。その結果、くしゃみが出やすくなったり、鼻炎を起こしたりする場合もあります。
さらに、歯周病が進行すると口臭が強くなったり、痛みによって食欲が落ちたりするといった日常生活への影響が出てきます。ほかにも、歯周病菌が血管に入り込み、心臓や腎臓に悪影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。
動物病院でのスケーリング(歯石除去)について
動物病院で行うスケーリングとは、歯に付着したプラークや歯石を、専用の器具「スケーラー」を用いて丁寧に除去する処置です。
歯石を取り除いた後、そのままだと歯の表面がざらざらしているため、再びプラークが付きやすくなります。そのため、歯の表面を滑らかに仕上げる「ポリッシング(研磨)」も合わせて行います。
これらの処置中に犬が動いてしまうと、口腔内を傷つけるリスクがあるため、基本的には麻酔下で実施します。当院では、麻酔をかける前に必ず血液検査や画像診断を行い、健康状態を十分に確認したうえで麻酔の可否を判断しています。万が一、麻酔のリスクが高いと判断された場合には、飼い主様とご相談のうえで、処置を行うかどうかを一緒に検討いたします。
また、犬の歯はどれだけ丁寧にケアしていても、時間の経過とともに少しずつ歯石が付着してしまいます。そのため、当院では年に1回、スケーリングを受けていただくことをおすすめしています。これは歯の健康を守るだけでなく、見えない全身のリスクを予防するためにも重要です。
無麻酔でのスケーリングのリスクと日常ケアの重要性
一部では「無麻酔でのスケーリング」を行っている動物病院もありますが、当院では無麻酔での歯石除去は行っていません。その理由は以下の通りです。
・歯の裏側や奥歯、歯間部など見えにくい部分の処置が不十分になりやすい
・犬が動いた際に、口の中を傷つけてしまう恐れがある
・押さえつける必要があり、犬に強いストレスがかかる
このように無麻酔の場合、根本的な治療にはならないことが多く、再び歯周病が進行してしまうことがあります。正確で安全な処置を行うには、麻酔下でのスケーリングが必要不可欠です。
また、スケーリング後も歯の健康を維持するためには、日常的なケアが欠かせません。プラークは3〜5日で歯石になるといわれているため、できれば毎日の歯磨きが理想です。ただし難しい場合には、少なくとも3日に1回のペースで歯磨きを行うよう心がけましょう。
なお、当院ではケア方法がわからない方には、スタッフが丁寧にご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q:麻酔をかけるのが心配です。安全性はどうですか?
A:当院では、麻酔をかける前に血液検査や画像検査を行い、全身の健康状態をしっかりと確認します。そのうえで、安全性を確保しながら処置を進めてまいります。なお、麻酔にはリスクもあるため、事前に丁寧にご説明いたします。気になる点があれば、どんなことでもご相談ください。
Q:無麻酔を希望したら無麻酔で処置していただけますか?
A:当院ではすべてのスケーリング処置を麻酔下で実施しております。犬の安全性と確実な処置のために、ご理解いただけますようお願いいたします。
Q:何歳頃からスケーリングを始めるべきですか?
A:1歳を過ぎた頃から、定期的な歯科検診を受けることをおすすめしています。プラークや歯石の付き具合に応じて、必要に応じてスケーリングをご提案いたします。
Q:家で歯磨きをしていても、年1回のスケーリングは必要ですか?
A:はい、必要です。丁寧に歯磨きをしていても、すべての汚れを完全に取り除くことは難しいため、年に1回のスケーリングによるケアが重要です。
まとめ
犬の歯に歯石がたまると、歯周病だけでなく、歯周病菌が血管を通じて心臓や腎臓に悪影響を与えることがあります。年に1回のスケーリングと日常のデンタルケアを併用することで、大切な家族の健康を守ることができます。
当院では、犬の歯科処置はもちろん、日常的なケアに関するご相談も受け付けています。
なにか分からないことがありましたら、当院までご相談ください。
\ 歯石取りキャンペーンのお知らせ /
当院では8月・9月限定で、麻酔下での歯石除去が20%OFFになるキャンペーンを実施しています。
歯石の除去や口臭対策をご検討中の飼い主様は、この機会にぜひご利用ください。
キャンペーンの詳細はこちらからご覧いただけます
■関連する記事はこちらから
犬や猫の呼吸の異常と循環器疾患の関係、緊急時の対応方法についてより詳しく知りたい方はこちら
★こちらの情報が参考になった方は、星マークをタップしてご評価ください★
犬、猫、エキゾチックアニマル(ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットなどの四つ足で毛の生えた小型哺乳類)の診察は、『マーズペットクリニック』
神奈川県鎌倉市にある動物病院
TEL:0467-39-3882